いつかはタイプR。熱烈なホンダ党であるオヤジのもとで育った自分にとって、タイプRは憧れの存在だった。きっと、ホンダが好きな人なら、同じ想いを抱いている人も多いことだろう。だが、近頃のホンダのスポーツカーはタイプRを筆頭に、どれも高すぎて手が出せない。そんな人には嬉しい、お財布にも優しめの1台の魅力を伝授したい!!
文・写真:ベストカーWeb編集部
■憧れだったS2000もタイプRも高すぎ問題
自分のオヤジは大のホンダ好きだった。聞くと、ホンダのものづくりに対する姿勢に感銘を受けているという。
今でも忘れられないのが、自分が小学校1年生の時のこと。週末、「中古車屋にクルマを見に行くから」とお店に連れて行かれた。お店の前で待ち構えていたのは、まだ新車のように綺麗な、シルバーのS2000だった。
当初は見に行くだけの予定だったものの、一目見惚れしたオヤジは、即お買い上げ。あれから20年近くの月日が経ったが、S2000は現役バリバリ選手。オヤジのホンダ愛も、年々増していくばかりである。
そんな環境で育った自分は、「将来は絶対にホンダのスポーツカーに乗るんだ」と強く誓った。シビックタイプRもかっこいいけれど、インテグラタイプRもいいな。NSXも、いつかは絶対に自分のものにして乗りたい。
当時、近所のスーパーで配布されていた中古車情報誌をペラペラとめくりながら、将来の妄想を搔き立てている時間は、本当に楽しかったし、甘酸っぱい思い出だ。
ところが、いざ自分が免許を取ったタイミングで、中古スポーツカーの価格は高騰。昔は2桁前半で購入可能だったクルマたちが、3桁台になってしまうなど、大きく時代が変わってしまった。
【画像ギャラリー】再販決定!! 追加された[シビックタイプR]のレーシングブラックパッケージがめちゃイケ!!!!!(17枚)画像ギャラリー■ハイブリッドスポーツの先駆け
社会人になって東京での一人暮らしをはじめた自分にとって、クルマも所持することはリスキーだった。物価の高い地域での生活。クルマを持つことになれば、プラスして維持費を払わなくてはならない。ひとまず、長年の夢だったタイプRの購入は諦めた。
けれど、なんとしてでもホンダのスポーツカーを、自分の愛車として迎え入れたかった。そんな時、自分の置かれている状況にマッチする1台に遭遇したのだった。
名前はCR-Z。2010年にホンダグリーンマシン3号として販売されていた、ハイブリッドカーである。コンセプトは、ハイブリッドカーでも運転する楽しみを感じられるように、スポーティな味付けに仕立てられている。
デザインは、かつて販売されたCR-Xをオマージュ。絶滅危惧種ともいえる、クーペールックスな見た目をまとっていた。トランスミッションはCVTのほか、当時としては珍しくハイブリッドカーなのにMT仕様を用意したのも忘れてはいけないポイントだ。
■スポーツテイストで悪くない選択肢
前期型 (ZF1型)のCVT仕様は20万円から購入することができたため、自分にとっては初めてパートナーとして時間を共にすることに決めた。中古車屋で対面し、家まで連れて帰った日の記憶は、今でも深く刻まれている。
タイプRのようにヤンチャで尖っている感じは一切しないし、決して速いクルマではない。また後方視界も非常に悪かった。だが、クーペテイストでアダルトっぽさもあり、乗り心地も抜群。まさに大人のスポーツクーペといった印象だった。
ハイブリッドカーなので燃費も非常に良く、ガソリンもハイオクではなくレギュラーだった点も魅力的。ちょっぴりスポーツらしさを味わえて、かつ使い勝手も良好だ。
ハイブリッドスポーツとして、時代を先行しすぎてしまったというバッググラウンドも、ホンダらしさが溢れていてお気に入りだった。
残念ながら今はお別れしてしまったが、完成度が高い割にはコスパも良し。それは人気がない故の影響なのだろうけれど、裏を返せばあまり被ることもないから個性を出することを意味する。
CR-Zは唯一無二の存在。もっと評価されるべきだし、より多くの人に愛されてほしい。中古でホンダのスポーツカーを探している、そこのあなた。CR-Zは結構いいチョイスだと思う。
【画像ギャラリー】再販決定!! 追加された[シビックタイプR]のレーシングブラックパッケージがめちゃイケ!!!!!(17枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方