横断歩道ではもちろんのこと、横断歩道以外でも、歩行者に配慮した運転をする必要のあるクルマのドライバー。夜間であっても、安全運転をしていれば、ほとんどの場合、歩いている歩行者を確認することはできると思いますが、思わぬかたちで、歩行者をひいてしまう可能性があるケースがあります。道路上に歩行者が横たわっている「路上横臥(おうが)」です。
文:yuko/アイキャッチ画像:Adobe Stock_naka/写真:Adobe Stock、写真AC
【画像ギャラリー】100件以上も発生している路上に歩行者が寝ている「路上横臥」による事故 ドライバーができる対策は?(6枚)画像ギャラリー交通事故で死亡した歩行者の10%が路上横臥
2024年に警察庁がまとめた資料によると、2023年に発生した交通事故で歩行中に亡くなった人(973人)の数は2年連続で増加(+18人)、そのうち、横断歩道以外を横断中に事故に遭った人(392人)が約40%、横断歩道を横断中だった(200人)のが約20%、次いで多かったのが路上横臥(道路上で歩行者が横わたっていること、約10%、107人)だったそう。
(歩行中死者を)年齢別にみると、65歳未満では、横断歩道横断中(51人、19.8%)や横断歩道以外を横断中(55人、21.3%)よりも路上横臥は多く(65人、25.2%)、そのほとんどが夜間、しかも飲酒をしていたそうです。
道路交通法第76条4の2では「道路において、交通の妨害となるような方法で寝そべり、すわり、しやがみ、又は立ちどまっていること。(は、何人もしてはならない)」と規定されており、歩行者の路上横臥は、道路交通法に違反する行為。
ただ、クルマのドライバーには、同法第70条で規定されている「安全運転の義務(車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。)」があるため、たとえ路上横臥者がいたとしても、危害を及ぼさない運転をすることが求められます。

現在の衝突被害軽減ブレーキ技術では認知できない
昨今は、新型車への衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)の搭載が義務化されるなど、クルマ側が前方の歩行者やクルマを検知して、ブレーキ操作を支援してくれる装備も普及していますが、現在の衝突被害軽減ブレーキ技術では、路上で横臥している歩行者に対応することはできないそう。
路上横臥者を検知できたとしても、システムを作動するべき対象と判別することが非常に難しいそうで、予防安全技術での解決はなかなか難しいのが現状。今後、道路とクルマ(路-車間通信)や、歩行者とクルマ(歩-車間通信)などの通信システムが実用化されれば、事故を未然に防ぐことが可能となってくるかもしれませんが、現状では、歩行者の路上横臥に関しては、やはりドライバー自身が注意しなければならないのです。
コメント
コメントの使い方これ、本気で肝を冷やしたことがあります。
夕方というかほぼ夜のとばりが降りた頃、短い橋になっていて坂の先が見えない道路で、人が横たわっていました。
いつも、ここは一瞬道路が見えなくて危ないなぁと思っていたから、大きく速度落として通ったので視認後でもギリギリかわせましたが
もし通ったのが自分以外、そこの普段の行き来のような速度で車が行っていたら、確実に死亡事故でした。視認すらできたか怪しいと思います