自動車[窃盗]に厳罰求む [クルマ]とユーザーを守る方法は車両保険しかないという現実

自動車[窃盗]に厳罰求む [クルマ]とユーザーを守る方法は車両保険しかないという現実

 近年、自動車窃盗が増加しています。ハンドルロックやGPSといった従来型の防犯対策では、クルマを十分に守り切ることはできなくなってしまいました。ユーザーを守る術は、保険のみという現実。この状態はどうすれば変えられるのか、自動車盗難被害の現在地を確認していきます。

文:佐々木 亘/画像:Adobestock(トップ写真=maroke@Adobestock)

現状、自動車盗難に対する刑罰があまりにも軽すぎる(buritora@Adobestock)
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自動車窃盗の深刻な現状と予防策の限界

現状、自動車盗難に対する刑罰があまりにも軽すぎる(buritora@Adobestock)
現状、自動車盗難に対する刑罰があまりにも軽すぎる(buritora@Adobestock)

 警察庁の調べによると、自動車窃盗件数は平成15年に6万4223件を記録したところから、昨年令和5年では5,762件と減少しています。しかし、この数字はあくまでも認知件数。実際の被害件数はこれをはるかに上回る可能性が高いのです。

 自動車窃盗は組織的な犯行で、外国人の関与も多くあります。そのため、犯人の特定が難しいのが現実です。加えて、自動車窃盗の刑罰は、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金と、一般的な窃盗罪と何ら変わりません。場合によっては執行猶予が付くケースもあり、重い刑罰とは言い難い部分もあります。

 犯行が繰り返される背景には、この軽い罰も理由の一つになっているでしょう。再犯率が高い状況を見ても現行の罰則では、犯罪抑止力が十分に機能していないことが浮き彫りになっているのです。

 被害者は愛車を盗まれることで、日常の生活を失い、資産も無くなります。たとえ盗難車が発見されても、盗まれる前の状態で戻ってくることはほとんどありません。

 あまりにも、被害者に厳しく犯罪者に優しい日本の法制度。この現実を踏まえると、自動車窃盗に対する対策の見直しと、現行法の厳罰化が急務といえるのではないでしょうか。

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盗難被害に使うのは車両保険

車両保険でしか盗難被害を補填できないのが現状(Andrey Popov@Adobestock)
車両保険でしか盗難被害を補填できないのが現状(Andrey Popov@Adobestock)

 昨今、防犯カメラや車載セキュリティの設置、ハンドルロック、GPS追跡機能など盗難・防犯対策は高度化しています。しかし、こうした対策をも、犯人たちは高度な技術で簡単に突破し、車を奪っていくのです。

 最新の手口と言われる、リレーアタックやCANインベーダーへの対策は遅れ、仮に対策を行っても、窃盗団は盗み方を新しく変えてきます。盗難対策を施すのは非常に難しく、自動車ユーザーにとって頼れる存在は、車両保険だけというのが現状です。

 車両保険は、盗難によって発生する経済的損失をカバーしてくれます。保険に加入していれば、車が見つからない場合でも、盗難の事実が確認できれば保険金が支払われます。また、盗難車が発見された場合に必要な修復・修理の費用も保険で対応可能です。

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盗難被害には総合的な対策が必要

自分自身での対策にも限界がある。ぜひ抜本的な制度改革をお願いしたい(Benjamin Sibuet@Adobestock)
自分自身での対策にも限界がある。ぜひ抜本的な制度改革をお願いしたい(Benjamin Sibuet@Adobestock)

 巧妙化する自動車窃盗から、愛車を守るためには、複数の対策を講じるべきです。最低限、クルマを守ることと所有者を守ることが必要となります。車両のセキュリティシステムと一緒に、万一の盗難時には補償を受けられるようにしておきましょう。

 窃盗のターゲットになるクルマは、ここ何年も変わっておらず、盗まれやすいクルマに乗っている場合には、盗まれない対策はもちろんですが、盗まれた場合の保険もかけておかなければなりません。

 ランクル・アルファード・プリウス・レクサスLX・ハイエースといったクルマでは、特に注意が必要です。

 もはや、国を挙げての対策が必要となっている自動車窃盗。「窃盗には併合罪があるから、現在の法整備で十分」という識者の声もありますが、明治40年に作られた刑法の窃盗罪は、もはや時代に則してないとも言えるのではないでしょうか。

 自動車盗難件数や被害額を下げるためには、通常の窃盗罪とは異なる自動車盗難専用の厳罰を定めるべきです。新政権には、抜本的な制度改革を期待します。

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