小林彰太郎氏の思い出 510ブルの1400 ハイビーム推奨の疑問 危なっかしい母の運転【復刻・徳大寺有恒「俺と疾れ!!」】

小林彰太郎氏の思い出 510ブルの1400 ハイビーム推奨の疑問 危なっかしい母の運転【復刻・徳大寺有恒「俺と疾れ!!」】

 2014年11月に逝去した自動車評論家、徳大寺 有恒。ベストカーが今あるのも氏の活躍があってこそだが、ここでは2013年の本誌企画「俺と疾れ!!」をご紹介する。(本稿は『ベストカー』2013年12月26日号に掲載したものを再編集したものです/著作権上の観点から質問いただいた方の文面は非掲載とし、それに合わせて適宜修正しています)。

10月28日に亡くなった小林彰太郎さん。徳さんにとっても偉大な大先輩であり「小林彰太郎」の署名記事から多くのことを学んだという

■再び小林さんのこと

10月28日に亡くなった小林彰太郎さん。徳さんにとっても偉大な大先輩であり「小林彰太郎」の署名記事から多くのことを学んだという
10月28日に亡くなった小林彰太郎さん。徳さんにとっても偉大な大先輩であり「小林彰太郎」の署名記事から多くのことを学んだという

 前回少しお話ししたが、今回も10月末(編集部註:2013年)に亡くなられた小林彰太郎さんの思い出を書かせていただくことにする。

 小林さんの思い出で特に記憶に残っているのはヨーロッパの旅であった。1982年か1983年小林夫妻とわが夫婦の2組が最新の欧州車を乗りに行ったのである。

 ミュンヘンではアウディ・クアトロ、ロンドンではジャグァ、ミラノではアルフェッタ1.8に乗った。各地でパーティがあり、特にヴェニスはマスカレード(仮面舞踏会)だった。

 行く先々で試乗があり、毎日が楽しく、特にアウディの歓迎ぶりは印象に残った。この時、土産にもらったペッカリーのグラブスをワイフは今でも使っている。今ではデンツのペッカリーグローブといえば、有名だが、当時はなかなか手に入らない代物だった。

 スイスのレマン湖のほとりではアウディ・クアトロが美しかったし、ロンドン郊外でのジャグァのドライブは大いに楽しかった。スイスのサンモリッツにあるバドラッツパレスホテルやイギリスのホテルでの滞在は楽しかった。

 クルマもそうだが、ヨーロッパの道がいいとつくづく思い知らされた。特にスイスのユリア峠は大いに楽しかった。

 クルマはもちろんだが日本に持ち帰りたかったのはその美しい道であり、交通であった。旅をしながら小林さんと日本車と欧州車の違いや、道路や交通の考え方の違いを語り合った。

 ドイツのアウトバーンは、スピードリミットがなく170~200km/hというハイスピードで走れたのには驚いた。だからここを走ると、クルマのことはよくわかる。そしてヨーロッパのクルマはここで磨かれるということもよくわかった。

 ドイツでは100kmを60分で行く計算が成り立つ。つまり、400kmなら4時間もあれば行けるのだ。しかも、このアウトバーン、そこそこの町には出入り口があってすぐ使えるから電車を使うよりも速いこともあるわけだ。

 そんなわけで小林さんとの旅はいつもクルマを速く走らせた。夫婦4人の旅は楽しかった。そして小林さんの我々への接し方から育ちのよさがよくわかった。一緒にいても出しゃばらず、しかし、しっかりと意見を言い、相手に不快な思いをさせないのだ。

 わが家にはこの旅の思い出としてアルファロメオとネームの入った栓抜きが今でもある。これは貴重な思い出であり、小林さんとの旅の思い出もこれで思い出せる。

 小林さんの日本の自動車界への貢献は大きすぎて語りきれないが、日本車が勃興した1960年代後半からの時代、日本に小林さんがいたことは自動車界にとって本当に幸運なことであった。

 日本の自動車界は今のところ元気にやっているが、その元気さは多くの人々によるものだ。そのなかで小林さんの存在を忘れてはならないだろう。小林彰太郎を得たということは日本の自動車文化にとって特に大書すべきことであると私は思っている。

 そして、我々がなりわいとする自動車ジャーナリズムの繁栄も小林さんをはじめ多くの先輩達のたまものであると私は感謝している。

 本当にありがとう。そしてやすらかに。

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