売れているクルマには売れているだけの理由がある。その理由を知ることによって、そのクルマの本当の実力、魅力もわかってくる。ここでは2024年の1月から11月の累計販売台数の上位5台を、渡辺陽一郎氏の解説とともにご紹介する。
※本稿は2025年1月のものです
文:渡辺陽一郎/写真:トヨタ、日産、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2025年2月10日号
※月販平均は四捨五入
※M=モーター、D=ディーゼル、T=ターボ、HEV=ハイブリッド
1位:トヨタ シエンタ
小型/普通車の販売1位はシエンタ。高人気の理由は、まず商品力だ。全長が4260mmだから、3列シートミニバンでは、最も小さくて運転しやすい。
しかも薄型燃料タンクの採用で、3列目の床と座面の間隔も適度に確保した。3列目に座っても膝の持ち上がる姿勢になりにくい。
現行型はウィンドウの面積を広げて視界を向上させ、外観もミニバンらしく背の高さを強調した。価格は割安で、ガソリン車のGは、実用装備を充実させて約238万円。Gハイブリッドも35万円の上乗せだから割安だ。
コンパクトミニバンの選択肢が実質的にシエンタとフリードに限られることも、販売面で有利になった。フリードは2024年6月にフルモデルチェンジしたから、1~5月はモデル末期で、設計の新しいシエンタが好調だった。
また、ノア&ヴォクシーは、現行型で全車のボディを3ナンバーサイズに拡大させ、価格はノーマルガソリンエンジンを搭載して実用装備を充実させた標準ボディのノアGでも297万円に達する。シエンタの買い得度が際立つ。
さらにノア&ヴォクシーは生産が追い付かず、2024年は受注を止めていた時期も長い。販売店からは「多人数乗車の機会が少ないノアとヴォクシーのお客様には、乗り換えの時にシエンタの購入を提案することもあった」という話が聞かれる。
●トヨタ シエンタ SPEC
全長4260×全幅1695×全高1695mm、1.5L、直3(91ps/12.2kgm)+M(80ps/14.4kgm)、28.2km/L(ハイブリッドZ・7人乗り)
●2024年1月~11月累計:10万4182台
●月販平均:9471台
●2022年8月デビュー
●1.5L、1.5L・HEV
●199万5200~323万4600円
2位:トヨタ ヤリス
パッソが販売を終了した今、ヤリスはトヨタで最小サイズの小型乗用車だ。トヨタの小さなクルマに対する需要がヤリスに集まった。
パワーユニットは、1.5Lのノーマルガソリンエンジンとハイブリッドに加えて1Lも選べる。1LのXは価格を150万1000円に抑えた。1Lは自動車税も安いため、クルマ関連の出費を抑えたい法人などにも魅力的だ。
ハイブリッドXはWLTCモード燃費が36km/Lだから、国内で購入可能な乗用車では、燃費が最も優れている。
●トヨタ ヤリス SPEC
全長3950×全幅1695×全高1495mm、1.5L、直3(91ps/12.2kgm)+M(80ps/14.4kgm)、35.4km/L(ハイブリッドZ)
●2024年1月~11月累計:7万6020台
●月販平均:6911台
●2020年2月デビュー
●1L、1.5L、1.5L・HEV
●150万1000~269万4000円























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