筆者は免許取得から40年間で数回事故に遭ったが、そのたびに保険会社とのやりとりで疑問に思うことがあった。事故の当事者となった時、多くの人がまず気になるのは「どっちが悪いのか?」ということ。そこで今回は“過失割合”について解説していきたいと思う。
文/山口卓也、写真/写真AC
交通事故における過失割合とは?
交通事故発生時にはその損害に応じてこちらが賠償金を支払う、もしくは相手に支払ってもらう必要があるが、その際の賠償金額を決める時に必要なのが“過失割合”である。
この過失割合とは、交通事故の損害において事故の当事者それぞれの過失の割合を30:70などと数値化したもの。
例えば被害者の過失割合が30で損害額が100万円なら、被害者が受け取れる賠償金は自身の過失分が差し引かれて70万円となる。
交通事故は大きく分けて“物損事故”と“人身事故”があるが、この過失割合は物損と人身で異なることはない。
【画像ギャラリー】いざという時のために知っておきたい過失割合の基礎知識(7枚)画像ギャラリー過失割合は警察が決めるものではない
学生時代にオートバイで交通事故に遭った際、自分の入っていた保険会社から「過失割合が決まりました」との連絡を受け、あれよあれよという間にお金が自身の銀行口座に振り込まれた。
ただ、その金額では同じモデルの同程度のオートバイに買い換えることはできず、モデル違いの安い中古車を探している時に「なぜこうなった??」と思った記憶がある。
交通事故が起こった直後、警察が到着して事故の状況を調べ、当事者が負傷して病院に搬送された場合は後日に実況見分が行われる。
そして実況見分後に供述調書が取られたが、この実況見分と供述調書によって、「過失割合は警察によって決められたんだ」と思っていたが、実はそうではなかった。
警察は実況見分と供述調書などの交通事故の原因を明らかにする資料を作成するが、“民事不介入の原則”によって、示談や損害賠償請求などの民事手続きに影響を与える“過失割合”を決めることはできない。
実際に筆者がその数年後にまたしても事故に遭った際、供述調書を取ってくれた警察官が「私たちは“あなたのほうが悪いですね”などとは決められません。事故がなぜ起こったのか? を明らかにするだけです」としっかり説明してくれて、初めて知ったのだった……。
【画像ギャラリー】いざという時のために知っておきたい過失割合の基礎知識(7枚)画像ギャラリー保険会社同士が過失割合を決めてしまう場合が多いが…
過失割合は本来、事故の当事者同士で決めるもの。
しかし、筆者自身は過去に相手方と話し合いで決めた記憶はなく、やはり通例ではそれぞれが加入している自動車保険(任意保険)会社同士で協議し決められているという。
この場合、事故の過失割合は“基本過失割合”に基づいて決められることが多く、基本過失割合は過去の同種の交通事故における判例や道路交通法などに照らし合わせて割合が決められている。
この基本過失割合をもとに、事故の状況や目撃者証言などの要素を含めて、最終的な過失割合が決められ、ある日突然保険会社から連絡がくるというわけだ。
しかし、世の中によく似た“同種の事故”はあっても「まったく同じ事故は存在しない」ことは知っておきたいし、筆者の加入していた保険会社のように、まるで決定事項かのように伝えてくるところもあるので要注意!
保険会社が伝えてくる過失割合が必ずしも正しいとは限らないし、そもそも保険金を支払う立場の保険会社は自社の支出を抑えたいので、あえて被害者が不利になる過失割合を提示してくるケースも少なくないという。
一度提案を受け入れてしまうと、後から変更ができなくなる可能性大なので、納得できなければ安易に了承しないことが重要である。
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