■日産はいつもの日産だった
これで経営統合の中にあった「対等の精神」が砕かれ、日産は非常に感情的になったと思われます。生き残りをかけてホンダと経営統合を目指そうと考えた初心は忘れられ、「ホンダとだけは嫌だ」という感情論に向かっていったようです。
惜しまれるのは、ホンダが日産の100%子会社化という強硬姿勢に打って出る前に、何か違った妥協点を探れなかったのかです。このドラマには多くの謎が残ります。
興味深いのが仏ルノーの行動です。ルノーは現段階でも35%程度の日産の株式を保有しています。ホンダとの統合は、ルノーにとって日産から脱出する有益なプランであったはずです。
しかし、ルノーから派遣されている取締役は統合交渉解消の賛成に回ったようです。よほどホンダの提示した価格が低かったのか、ホンダより高く売れる機会を狙っている可能性はあります。
ルノーにすれば高く売れるなら鴻海でも誰でもいいのかもしれません。鴻海の劉揚偉会長は2月12日に初めて公式のコメントを発し、日産に求めているものは「買収ではなく提携」と述べました。日産が合意すれば、ルノーが保有する30%の株式が鴻海に移行し、日産は鴻海傘下での経営再建を目指すことになるシナリオがあります。
そうは言っても、国家安全保障上の問題を考慮した時、日産が現時点で鴻海にアライアンスパートナーの候補を絞っているとは考えづらいものがあります。日本政府の支援を要請し、いろいろ選択肢を検討していると考えるほうが自然だと思います。
2月13日に発表された日産の構造改革計画の内容は、11月に示された骨子から大きく変わっていませんでした。日産はいつもの日産でした。経営判断のスピード感は特段変わっておらず、「新車が出る」といういつものロジック以外に目新しい施策はありません。自主再建の成功を確信するには材料が乏しい発表内容だったのです。自主再建の成否と持続可能性は新たなアライアンスがカギを握ることになるでしょう。
日産は自主再建策の合理性、ホンダはSDV戦略を遂行し、成功するための新たな戦略構築という重要な説明責任を果たしていかなければならないのです。
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