■勝負10:永遠の挑戦は21世紀も続く! 日産GT-R vs ポルシェ911ターボ(2007年)
ポルシェを劇的に追い越した半世紀前のあの瞬間、スカイラインは“日本で最も速いGTスポーツ”であることを義務づけられた。けれども、ツルシの生産個体でポルシェとマトモに対峙できるようなスポーツ>性能をスカイラインの最高峰GT-Rが獲得するまで、実に40年以上もの年月を必要とした。
R35GT-Rの登場は、間違いなく、日本のスポーツカー史における画期的な出来事である。
デビュー時点ですでにポルシェターボを上回るツルシのニュルブルクリンク性能を誇った。スポーツ性能という点で、追いつくどころか追い越し、リードを保ったままゴールを切ることのできるクルマとなっていた。
もっとも、こと純粋なGT性能という意味では、まだまだポルシェターボに見習うべき点が多かったことも、また事実だ。
ポルシェターボはこの世に生を受けたその瞬間から、ピュアなスポーツ性能をターゲットにはしていなかった。ずっと、アウトバーンを快適にかっ飛ばす至高のGTであり続けた。
R35はどうか。ニュル最速の毎日スーパーカーという実力が、全身からスパルタンさをにじみださせてしまっていた。
が、しかし。デビュー後7年が経って時代は移り変わる。最新のMY14においては、ポルシェにおけるターボとGT2&3コンビのように、基準車とニスモの役割分担をはっきりと打ち出して、基準車をポルシェターボに負けない“グランツーリズモ”として再出発してみせた。
賛否両論あるだろう。それでいいじゃないか。少なくともGT性能において、R35はようやく、ポルシェターボの後ろ姿が見えるところまでやってきた。
あと5点、足りない。速さを競う場面ではともかく、GT場面での使用では後味が弱い。見栄え質感や官能フィールなどGTとして極めなければいけない点が、感覚的にはもう〝5点ぶん〟残っているとボクは思う。
例えば東京から京都まで走りきったすぐその夜に、帰りの行程がもう楽しみになる……。そんな後味の強烈さをGT-Rにはもっと求めたいのだ!
●挑戦の結果…ポルシェ911ターボが100点だとしたら日産GT-Rは「95点」!!
(TEXT/西川 淳)
(写真、内容はすべて『ベストカー』本誌掲載時のものですが、必要に応じて注釈等を加えている場合があります)


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