■勝負8:1990年代は日本のGTが世界をリードする! RX-7 vs ポルシェ968ターボS(1991年)
ポルシェといえばRR駆動の911だが、’1970年代より廉価な924が発売されてからFR駆動しかもトランスアクスルのこの手のモデルが人気を呼んだ。924はその後944へと進化し、その後はボクスターが誕生するためこの968で終結するのだが、それまでの944とは違い、70%以上を専用開発したポルシェの自信作だった。
対する7(セブン)もやはり1970年代に登場。デビューした時の印象は今でもはっきりと覚えている。リトラクタブルヘッドライトのコンパクトなシルエットに感動した。2代目となるFCへと進化し、最終モデルとなるFDが登場したのも968と同じ1990年代だ。
この頃の日本車といえば欧州車になんとか追い付こうと必死に開発を重ねていた時代。しかもスポーツカーのカテゴリーでポルシェに勝てるはずもない。968ターボSは1740万円という911もビックリの価格で3Lの直4水冷エンジンは305psを絞り出す。
基本は968CS(クラブスポーツ)に944ターボのエンジンを排気量アップして載せたもの。クラブスポーツは現在でも911GT3などに設定されているが、そのままでもサーキットを走れるサス性能で、968ターボSはすばらしいハンドリングと動力性能を持っていた。
では1991年にフルモデルチェンジしてFD型となったRX-7。最終的にはシーケンシャルツインターボを採用した2ローターの13Bロータリーエンジンは280psを発生。自主規制もあったからこれを968ターボSの305psと比較してはならない。さらに8000rpmというレブリミットは魅力的で電気モーターのような回転フィールは個性的ですばらしかった。
フロントはストラット式というポルシェに対してサスペンションは前後ともにダブルウイッシュボーン式。そのハンドリングはクセもなく素直でコントローラブル。968がトランスアクスルで前後バランスを取っていたのに対してコンパクトなロータリーエンジンゆえ前後重量配分のよさが光る。で、FD型RX-7の点数は102点だね。
●挑戦の結果…ポルシェ968ターボが100点だとしたらRX-7は「102点」!!
(TEXT/松田秀士)
■勝負9:オーバー400psの4ドアGT対決! レクサスIS F vs BMW M3(2007年)
69点! 悪くないけど微妙に足りない。そんな完成度だと思う。IS Fは、個人的には好きなクルマだが、それは5LのV8エンジンを搭載するパッケージングが面白いから。423ps/51.5kgmのパワー&トルクは文句なしに強力。M3セダンは4LのV8エンジンで420psとパワー的には接近しているが、最大トルクは40.8kgmでIS Fが勝る。単純な加速競争だったらIS FはM3と同等以上の性能を持っている。前後重量配分もちゃんと整っており、旋回中の前後重量バランスもなかなかいい。
8速ATは、ギヤ比がワイドすぎで8速メリットを引き出し切れていないが、Mモードでは2速から8速の全回転域でロックアップ。トルコンの滑りをなくしてダイレクトで大迫力なエンジンフィールを味わうことができる。MTと同等の微妙なアクセルコントロールも効く。
M3に比べて物足りないのは操縦性の味つけの部分。
その原因はボディ設計やシャシー設計になるのかもしれないが、大雑把にいって限界領域でのコントロール性を含め、圧倒的にM3がいい。IS FもLSDが標準装備になって、滑り出してからのコントロール性はだいぶよくなったが、滑り出しの唐突さ、そこに至るインフォメーション性の乏しさを感じてしまう。
M3はクルマの重心がどんなふうに動いているか今どのタイヤにどのくらい負担がかかっているかが、とてもよくわかる。クルマの動きにもグラッとくるような不安定な挙動が出ないので、ハイペースで走っていてもドライバーは安心して運転していられる。現行ISはすばらしくできがいいのでこれがベースのIS Fが登場したら、M3と肩を並べるくらいよくなる可能性を持っていると思うが、現行のIS Fでは正直まだ差があるといわざるを得ない。
●挑戦の結果…BMW M3が100点だとしたらレクサスIS Fは「69点」!!
(TEXT/斎藤 聡)




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