レクサス版「ランドクルーザー」、レクサス LXに初のマイナーチェンジが施され、ハイブリッドモデルの「700h」が追加された。耐久性、信頼性を重視しながらハイブリッド化されたLX700hの、本場北米での試乗レポートをお届けする。
※本稿は2025年2月のものです
文:渡辺敏史/写真:レクサス
初出:『ベストカー』2025年3月26日号
レクサス LXにハイブリッドの「700h」登場
レクサスのフラッグシップSUV、LXに初のマイナーチェンジが施された。その目玉となるのがハイブリッドのパワートレーンを持つ「700h」の追加だ。ちなみにGXも一部仕向けにはハイブリッドが用意されており、LX700hの登場により、レクサスは全銘柄で電動化を完了させたことになる。
システムはシリーズとパラレルの長所を両取りしたTHSとは異なり、従来の600が搭載するV35A-FTS型と副変速機付きの10速ATの間に駆動モーターを挟み込み、クラッチで駆動力制御するパラレル式を採用している。
高負荷対応や耐久性、信頼性といったラダーフレーム四駆に求められる性能を考慮すると、従来からの安定したメカを活かせる仕組みが適切と判断されたのだろう。ちなみに前述のGXや北米のタンドラ&セコイアも同様のシステムを採用している。
悪路でも走行性能にハイブリッド化のネガなし!
北米仕様のLX700hの最高出力は457hp、最大トルクは583lb-ft=約80.6kgmと発表されており、日本仕様もおおむねこれに準拠することになるだろう。
グレード名が示すとおり、燃費狙いというよりはパフォーマンスのためのサプリ的意味合いが強いシステムだが、確かに自然吸気の内燃機になぞらえれば7~8L級のトルクを備えることになるわけだ。
北米仕様での試乗は700hの専用グレードとなるオーバートレイルが主役だったが、モーターならではの押し出しの厚みは発進時より低中速域でより強く感じることができる。
ダウンサイジングV6+ワイドレシオの多段ATの組み合わせゆえ、600では加速時にキックダウンのビジーさも感じなくはなかったところをモーターが上手く補完しているイメージだろうか。
気になるのは繊細なスロットルワークが求められるハードなオフロード環境でのパワートレーンの追従性だが、その点はさすがに上手く設えられていた。
折からの雨でズルズルになった泥濘地を走るという厳しい環境でも、微妙な駆動力の調整はスロットルで苦もなく行えるだけでなく、モーターから内燃機への切り替えも至ってスムーズで、その駆動変化による不安定挙動なども見られない。
コンベンショナルな600に対しての悪路走行におけるネガは感じられなかった。
新しいLXの日本仕様の詳細は2025年春に発表され、そのタイミングで受注も再開される予定だという。
「どこへ行っても生きて帰る」はHVでも不変
ランドクルーザー一族に属するLX。「どこへでも行き、生きて帰って来られる」という本質は変わらない。700hもハイブリッドシステムの万一の故障に備え、本来ハイブリッド車には不要なスターターモーターやオルタネーターを備えている。
●レクサス LX700hのポイント
・LX史上初のハイブリッドは3.5LのV6ツインターボベース
・万が一ハイブリッドシステムが故障してもエンジンのみで走行可能
・前後デフロック機能も備えたオーバートレイル仕様を用意
・車重は増えても燃費は向上。ハイブリッド化のデメリットなし
●レクサス LX700h(オーバートレイル) 主要諸元
・全長×全幅×全高:5095×1990×1946mm
・ホイールベース:2850mm
・車両重量:2780-2840kg
・パワーユニット:V6 DOHC+ターボ+モーター
・総排気量:3445cc
・最高出力:457hp/5200rpm
・最大トルク:80.6kgm/2400rpm
・トランスミッション:10速AT
・最低地上高:205mm
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