日本では2025年中に販売されると言われている、VWのID.Buzz。愛らしいデザインのBEVミニバンだけあって、結構気になってる人も多いはずだ。しかし、アメリカでは現在、叩き売り状態になっているとか。なぜそんな現象が起きるのか…解説していきたい。
文:古賀貴司(自動車王国) 写真:フォルクスワーゲン、ベストカーWeb編集部
意外と知られていない希望小売価格の詳細
アメリカでたびたび話題になるのは、人気車種の自動車販売店(ディーラー)によるプレミアム価格での販売だ。自動車メーカーが設定するのは定価ではなく、あくまでも「メーカー希望小売価格」。
理論上、自動車メーカーが提示した希望小売価格を上回ることも、下回ることもディーラーの裁量に委ねられている。日本にも再販売価格維持行為を禁止する法律が存在する。
これによりメーカーが商品を販売する際に、ディーラーに対して特定の価格での販売を強制することを禁じている。
つまり、自動車メーカーは販売会社に対して、クルマをいくらで販売するかを強制することができない。ディーラーはメーカー希望価格を“参考”にしながら、需要や競合店の価格などを考慮して、最終的な販売価格を自由に決めているというのが建前。ディーラーによる自由競争を確保することで、消費者の利益につながるようにしているのが法律の考え方だ。
【画像ギャラリー】広っ!! ID.Buzzの内装こうなってるんだ!! 衝撃の全貌をどうぞ(8枚)画像ギャラリー日本では意外とウケそうなID.Buzzが大幅値下げ
アメリカではフォルクスワーゲンID.Buzz(日本未導入:BEVのミニバン)が既にディスカウント価格で販売されている、ということが話題になっている。ID.Buzzはアメリカでのメーカー希望小売価格は6万1545ドル(約910万円)~。
Cars.comに掲載されているID.Buzzを見ると、大幅値引きされたID.Buzzの存在に気づく。
EV優遇措置を設けているコロラド州では、Pro Sグレードがメーカー希望小売価格から1万1350ドル(約170万円)引きの4万8581ドル(約720万円)。
さらに大きな値引きはニューヨークでの1st Edition 4Motionモデル。このグレードのメーカー希望小売価格は7万1545ドル(約1000万円)だが、ディーラーは1万5250ドル(約220万円)引きで提供しており、価格は5万7000ドル強(約850万円)まで下がっている。
【画像ギャラリー】広っ!! ID.Buzzの内装こうなってるんだ!! 衝撃の全貌をどうぞ(8枚)画像ギャラリーキャデラックは独自のワンプライス制を導入
早い話、需要と供給のバランスで見ると、供給量が上回っているから起こっている現象である。消費者はそこまでEVを求めていない、もしくはID.Buzzを欲しがる層にはメーカー希望小売価格が高過ぎる、ということなのだろう。
個人的には車中泊しやすいEVミニバン、興味津々なのだが…。
トランプ大統領は新規EV購入に対する7500ドルの連邦税額控除の終了を求める一方、輸入車に25%の関税を課す可能性を示唆している。しばらく混乱が続きそうだ。
一方、日本においてキャデラックはEV販売で面白い取り組みを行っている。ディーラーに在庫リスクを負わせない代わりに「メーカー指定価格」というワンプライス制を導入しているのだ。
もっとも、日本でディーラーがプレミアム価格で自動車を販売した、という話は耳にしないが…。
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