1980年に誕生したミラは、現在もミライースとして名を残す、ダイハツを代表する軽自動車だ。今年で登場から45年を迎えるが、その魅力は変わらない。中でもミラの全盛期と言えるのが、1980年代。イケイケだったミラには、かなり攻めたキャッチフレーズやコピーが用意されていた。今見るとクエスチョンマークが浮かびそうな、ミラのキャッチコピーを振り返っていこう。
文:佐々木 亘/画像:ダイハツ
【画像ギャラリー】手のかからない? ペパーミント? 未来之舞? 80年代ミラのコピーがぶっ飛んでいる件(23枚)画像ギャラリーミラへ車名変更したら攻め方が異常に強くなった
1980年にミラ・クオーレとしてデビューしたミラは、1982年に現在も慣れ親しむ「ミラ」へと車名を変える。
当時のカタログの中で、ミラは彼氏のような旦那のような、女性にとっての相棒として描かれているのだ。真っ先に目に飛び込んでくるのが、「主張がなければ美しくない。美しくなければ愛せない」というフレーズ。
このフレーズの上で、美しい進化として取り上げられているのが、ミラにオートマチックトランスミッションが搭載されたという点だ。ここで、初代ミラの名調子が登場する。
「世話のやける男もいいけれど、手間のかからないミラもいいものよ」
読者の中の男性の中には、少々ドキッとした方もおられるのではないだろうか。経済成長期を終え、女性の社会進出も進む中で飛び出した、女性目線の良いフレーズだ。
当時は、現在のようにオートマが当たり前ではなかった時代。クルマが男として擬人化されているのも、この時代ならではといったところか。
【画像ギャラリー】手のかからない? ペパーミント? 未来之舞? 80年代ミラのコピーがぶっ飛んでいる件(23枚)画像ギャラリーさわやかな香りを残して走り去るターボ?
初代ミラのぶっ飛びコピーは、まだ続く。1983年に追加されたターボモデルでは、表紙から意味不明なのだ。
表紙には、NEWミラTurboと上部に書かれ、下部には「ペパーミント・ターボ誕生」の文字がある。表紙を開くと、さらに大きくペパーミント・ターボと書かれ、ここまでは何がどうしてペパーミントなのか、皆目見当がつかない。
読み進めていくとやっとペパーミントの意味が分かる。要するに、ミラとターボ出会い恋をした、これは美しさが速さに恋をしたということらしい。ターボを手に入れたミラは、走りの冒険児であり、さわやかな香りを残して走り去る。その香りがペパーミントであり、このターボをペパーミント・ターボと呼ぶというのだ。
カタログ最終ページには「さわやかな走りの物語(ドラマ)が始まる」と締められている。独特の世界観が面白い初代ミラ。何を言いたいのかがイマイチよく分からないのだが、とにかくいろんな意味で「スゴイ」ということだけは分かった。
現代のクルマも「とにかくすごいから買ってくれ」的な売り方をしてみたら、意外とミラのように大ヒットするかもしれない。
【画像ギャラリー】手のかからない? ペパーミント? 未来之舞? 80年代ミラのコピーがぶっ飛んでいる件(23枚)画像ギャラリー初代のテイストを大きく変えてきた「新形」
1985年に登場した2代目ミラは、全方位で初代を超えたクルマになった。再び時代に先駆けて生まれ変わったミラを、ダイハツは「未来之舞。ミラ」と表現する。
未来(みらい)とミラがおそらくかかっているこのフレーズ。2代目は先代よりも美しさに磨きをかけて、初代の1.5BOXから1.3BOXのスペーシィシェイプデザインに変わっている。そして新開発の3気筒エンジンに、新設計の4輪独立懸架サスペンションで、舞うような走りを実現した。
カタログ曰く、これを一度体感したなら、もう未来のヒトらしい。以降は、「妙・誘・歓・裕・律・優・捷・逞・嬉・彩」の漢字一文字ずつが、内外装や装備を紹介するページのタイトルのように使われている。
90年代以降は、普通に読み進められるカタログへと変わったミラ。80年代に何があったのか、聞いてみたいくらい、初代と2代目のカタログは、奇想天外で尖った作りをしていたぞ。
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