クルマのエアコンも機械ですから、点検やメンテナンスをせずに長い期間使っていると、あるとき急に動かなくなったり、冷気が出なくなったり、あるいは冷却液が室内に漏れて異臭騒ぎになったりすることもあります。エアコンの装置は、エンジンやバッテリーなどのように点検や交換の箇所が表に出ていないこともあり、なかなか手を出しづらい部分ではありますが、夏に本格稼働させる前のこの時期に、状態の確認や消耗パーツの交換を済ませてしまいましょう。
文:往 機人/写真:Adobe Stock、ベストカーWeb編集部/アイキャッチ:Michael@Adobe Stock
【画像ギャラリー】夏本番前に備えよう!! エアコンメンテを忘れずに!!(3枚)画像ギャラリーカーエアコンの構造と仕組みをおさらいしよう
カーエアコンは、見える部分の姿形が異なるためにまるで違う構造だと思っている人も少なくないようですが、実は基本的な構成と仕組みは家庭用のエアコンと共通の部分があるので、相互の対比で考えると理解がしやすいと思います。
カーエアコンの構成をザックリと説明すると、暑いときに使うクーラー機能と、寒いときに使うヒーター機能を備えています。ここは家庭用と同じです。
クーラーの仕組みはクルマ用も家庭用も同じです。コンプレッサーで冷媒を圧縮すると、圧力と比例して熱が上がります。その熱をラジエターの役割を持つコンデンサーで冷ましてから室内機にあたる部分の“エバポレーターへ送ります。
そこでは冷媒の圧力が減圧され、そのときに周囲の熱を奪います。その下がった温度の空気を送風機で室内の送って冷やすというわけです。
家庭用ではコンプレッサーを動かすのに交流電源を使いますが、クルマ用の場合はエンジンの動力を分けてもらうという点が異なります。
また、ヒーター(暖房)の機能は、家庭用では電熱線で過熱しますが、クルマ用ではエンジンの熱を活用します。つまり、エンジンの熱を受け取った冷却水を室内に引き込んでその熱で温めるという仕組みです。
家庭用エアコンの室内機にあたる部分はダッシュボードとセンターコンソールの奥に隠れています。
今のカーエアコンは設定温度を入力すればヒーターとクーラーをオート(電動)で切り替えてくれるため、家庭用のエアコンと同じ感覚で使えるようになっています。
ひと昔前のものや、今でも商用車のような廉価版のエアコンの場合はレバー操作でクーラーとヒーターの切り替えをおこなっています。
クーラーとヒーターそれぞれのメンテナンス箇所
まずはクーラーとヒーターの両方に関わる送風機構から見ていきます。室内に送られるエアコンの空気は2系統に分かれたところから送られています。内気/外気の切り替えがそれです。
車両によって細かい場所は異なりますが、一般的に内気はセンターコンソールの奥に吸い込み口があって、フィルターを通ってファンで室内に送られます。
外気はワイパーの付け根付近から取り入れられているケースが多く、内気と同じフィルターに導かれてから室内に送られます。なので、まずはそのフィルターの点検&交換をおこないましょう。
記録簿があればいつ点検または交換したかが分かると思いますが、状況によっては定期点検期間より早く交換時期が来てしまうこともあります。
交換はオーナー自身でも可能ですが、奥の方にあるケースが多く、構造を理解してからでないと苦労する可能性が高いと思います。なのでプロに任せてしまうのが無難でしょう。
そうなると工賃が掛かりますので、点検のみではもったいないため、交換してしまうほうが良いでしょう。時期としては黄砂や花粉などの粉塵の飛散が収まる晩春が良さそうです。
冬から温かい春になるにつれて使用頻度が少なくなるヒーターですが、ヒーターの部分でチェックできる箇所は正直そう多くありません。
ラジエターのキャップを開けて冷却水の状態を確認したり、ヒーターホースの亀裂や劣化が無いか目視で確認したりというのが主なところでしょうか。
もし冬に使っていて「ヒーターの効きが下がったかな?」という気がしたら、冷却水の通路を開け閉めして切り替える“ヒーターコック”が劣化しているかもしれません。この場合は交換になります。
あとは室内の足元からあまり嗅いだことの無いケミカル臭がする場合は冷却水の漏れが考えられますので、プロの点検に出すことをオススメします。
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