ミニバン界の帝王として君臨するトヨタ アルファード&ヴェルファイアに、新たにPHEVモデルが加わった。アル/ヴェルの弱点とされていたパワー不足を補いつつ燃費性能も向上するという「アル/ヴェル最強バージョン」で帝王の座は盤石だ!!
※本稿は2025年3月のものです
文:清水草一/写真:奥隅圭之、トヨタ
初出:『ベストカー』2025年4月10日号
ミニバン界の帝王に切り札登場!
アルファード/ヴェルファイアは国産ミニバンの王者。今や日本にとどまらず、全アジアのミニバン界に君臨する帝王だ。
先代までは、両側スライドドアを持つミニバンの特性として、ボディ剛性が弱く、走りも乗り心地もいまひとつだったが、現行モデルはどちらも大幅アップ。アルファードの甲冑フェイスは、自動車デザインにある種の革命をもたらすなど、ライバルを寄せ付けない強みを発揮している。
そんなアル/ヴェルにも弱点はあった。2トン超えのボディに対するパワー不足である。2.5LのガソリンもHEVも、王者としては加速が物足りない。ヴェルファイアのみに設定の2.4Lターボ(デュアルブースト)は別格だが、燃費がガックリ落ちる。帯に短し襷に長し、だったのである。
王者にふさわしいパワートレーンだ
そこで今回、満を持してPHEV(E-Four)が投入された。システム出力306ps! WLTC燃費16.7km/L! しかも満充電なら73kmまでEV走行可能! パワーで2.4Lターボを上回り、燃費でも実質的にトップ!
しかもこのPHEV、最上級のエクゼクティブラウンジのみの設定で、お値段は1065万円(アルファード)~1085万円(ヴェルファイア)! まさに王者の中の王者である。
で、その走りはどうだったのか!?
やっぱり王者でした。
加速は文句なしだ。特に日常的に多用するアクセルの踏み足し時、モーターのトルクがグワッと出るのでとってもラクチン。こういうのを待ってたぜ。
さすがにアクセルを全開にすると、4気筒エンジンのうなりが安っぽく感じるが、EVモードにしておけば、エンジンがかかることはほとんどない。つまりV12よりカイテキである。
PHEV用バッテリー搭載で重くなった車重のおかげで、乗り味はより重厚になり、静粛性も大幅アップ。
足回りのセッティングは、ショーファーユース向けのソフト系だが、低重心につき、カーマニアが首都高で試乗しても不満は感じなかった。2列目で足を伸ばせば文句なし。さすが4ケタ万円と言うべきか。舌の肥えた経営者や芸能人の皆様方も、これならより満足されることでしょう。
このPHEV、月間販売目標はわずか200台。まさに選ばれし者のための頂点グレードだが、1000万円オーバーは決して高くはなかろう。なぜって、これがミニバン界のエベレストなんだから!
アルファードのみ! 2列シート4人乗り「Spacious Lounge」
特別仕様モデルとして2列シート4人乗りスペーシャスラウンジを新設定。後席は背もたれをさらにハイバック化してヘッドレストにスピーカーを組み込んだ。ベース車+約400万円!!
●トヨタ アルファード&ヴェルファイアのここがポイント!
・PHEVは最上級のエグゼクティブラウンジに設定される
・PHEVのシステム出力は306psでE-Fourのみの設定
・PHEVの車重はHEVに対し180kg増加するが、低重心
・アルファードに8人乗り「X」グレードを新設定
・アルファードに2列シート4人乗り仕様を新設定
●トヨタ アルファード&ヴェルファイア Executive Lounge PHEV
・乗車定員:6名(2-2-2)
・WLTCモード燃費:16.7km/L
・1充電あたりEV走行距離:73km
・全長×全幅×全高:4995×1850×1945mm
・ホイールベース:3000mm
・最低地上高:155mm
・最小回転半径:5.9m
・車両重量:2470kg
・エンジン:直列4気筒DOHC
・総排気量:2487cc
・最高出力:177ps/6000rpm
・最大トルク:22.3kgm/3600rpm
・モーター:フロント=182ps/27.5kgm リア:54ps/12.3kgm
・サスペンション:F=ストラット R=ダブルウィッシュボーン
・タイヤサイズ:225/55R19
・車両価格:1065万円(アルファード)、1085万円(ヴェルファイア)
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