1台のクルマで違ったボディタイプが楽しめる。そんな願望を叶えてくれる1台なんてあるわけないか。いやいやありましたよ、日産に! けれど日本では法律の都合上で導入されないという悲しい結末に。
文:小鮒康一/写真:ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】まるで着せ替え人形!! エクサのコンセプトがキテレツ的でオモロイぞ!!(6枚)画像ギャラリー法律に阻まれた着せ替えモデル
クルマを購入するときの醍醐味のひとつと言えるのが、どの車種にしようかと悩んでいる時間だろう。ただ実際にある程度車種を絞ったとしても、両方の車種を購入することは現実的ではないため、泣く泣く一方の車種を断念するということはよくあることだ。
しかし、過去に車両の一部を着せ替えることでボディタイプを変えることができるモデルが存在しており、この車種を購入すれば異なるボディタイプの車両を同時に所有することも夢ではなかったのだ。
そんな着せ替えボディを持っていたのが、1986年10月にリリースされた日産エクサというモデルだ。先代モデルはパルサーエクサというパルサーの派生車種だったが、このモデルからパルサーの名前が取れエクサとなっている。
このエクサはリトラクタブルヘッドライトとTバールーフを備えており、車体後部はノッチバッククーペを基本としていたが、ステーションワゴンタイプのキャノピーと呼ばれる形状も用意されていた。
また車体後部は取り外すこともでき、Tバールーフも開けて走ればオープンカーのような解放感溢れるオープンエアモータリングを楽しむこともできる仕様となっていたのだ。
日本では幻となったリアハッチを交換する楽しみ
そしてリアのハッチ部分はクーペとキャノピーで互換性があり、交換することでクーペとステーションワゴンの2つのボディタイプを楽しむことができた……というのは海外でのお話。
残念ながら日本では車検証上の車体形状が変わってしまうために交換が許されず、交換ができないようになっていたのだった(外してオープンにすることはできた)。
そのため日本ではクーペとキャノピーという異なる車型として販売されており、魅力が半減してしまったというしかないだろう。
ただそもそもこのエクサは北米にある日産のデザインセンターが手掛けたモデルであり、アメリカでは1987年に米国工業デザイン優秀賞を、カナダではカナダ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞するなどしっかり評価されていた。
日本でも米国工業デザイン優秀賞の受賞を記念して輸出仕様に近いスタイルを持った「L.A.バージョン」が追加されている。
しかし日本ではニッチなモデルであったことは変わりなく、1990年8月にベースのパルサーがフルモデルチェンジしたタイミングでエクサは消滅。
後継車種としてNXクーペが登場し、Tバールーフの設定こそ継続されたが、着せ替えシステムが踏襲されることはなかったのだった。
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