最も起きやすいトラブルはバッテリー上がり
さて、長期間、乗らずに置いておいたことでもっとも起きやすいトラブルに「バッテリー上がり」があげられる。これが起きる主な要因は「自己放電」と呼ばれる現象にある。
これはバッテリーに溜め込まれている電気の量が自然に目減りしていく現象で、放置期間が長くなるほど放電量は多くなる。
そして、バッテリケースの上面が湿ったホコリで覆われているとその傾向が強まる。+電極と-電極の間に微量な電気が流れ、電気を消費している状態になってしまうからで、常にきれいにしておくことが大切だ。
また、補機用の鉛バッテリーはバッテリー液(電解液/希硫酸)を注入した時点から劣化が始まり、実質的な容量(電気を溜めておくことができる量)が徐々に減っていく。このため、バッテリーの使用年数が経過するほどにバッテリー上がりを起こしやすくなる。
しかも、セルモーターの回転時バッテリーから大量の電気を放出される。瞬間的に100A以上もの大電流が流れるのだが、バッテリーが劣化してくると内部抵抗が増加して電気が流れにくくなるため、そんな大電流を流しにくくもなる。その結果、勢いよくセルを回せる時間は確実に短くなってくるのだ。
それでもエンジンさえかかってしまえば発電機(オルタネーター)が動作して補充電が開始され、消耗した分を補充しつつ、回転し続けるために必要な電気の供給が行われるため、ある程度の電力は回復する。
しかし、電子制御やパワーアシストが氾濫している最近のクルマは、ただエンジンを回しておくだけでも電気を食うため、5~10分程度、アイドリングさせたところで消費した電気は補いきれない。
発電量はエンジン回転数が2000rpm前後に達した時に最大となり、それ以降は安定するよう設定されている。
クルージング時のエンジン回転は2000rpm前後に落ち着き、これ以下では通常走行時に「供給過剰」に、以上では「供給不足」に陥ってしまうからだ。
「乗らないならせめてエンジンをかけろ」はあまり意味がない
つまり、アイドリング時の発電力は走行時よりかなり少ないわけで、これも「乗らないなら、せめてエンジンをかけろ」というアドバイスが、あまり意味がない要因の1つに上げられる。
新車の1回目の車検が3年に延長されて以降、バッテリーの耐久性は向上して3年以上、余裕で使える傾向にはあるが、3年以上使用したバッテリーは確実に性能が低下。
定期的に走っているならまだしも、乗らずにおいておく期間が長いという利用状況ならバッテリー上がりを起こしやすくなってくるので注意!
バッテリー上面に設置されているインジケーターを定期的にチェックして、コンディションを把握しておきたい。
そして、「要充電」状態だったり、セルの回りが弱々しく感じたなら、ただちに補充電を依頼するべきだ。
が、そのような状況が頻繁に起こるようなら、動かなくなる前にバッテリーを交換することをおススメする。
コメント
コメントの使い方