新型マツダ CX-5に搭載予定のスカイアクティブZは究極のガソリンエンジンなのか?

新型マツダ CX-5に搭載予定のスカイアクティブZは究極のガソリンエンジンなのか?

 マツダは2025年3月18日、電動化に向けた「ライトアセット戦略」を発表した。そのなかで、スカイアクティブXに変わる新たなガソリンエンジン、スカイアクティブZを開発中であることを明らかにした。この2.5L直4ガソリンエンジンに、マツダ独自のハイブリッドを組み合わせて、2027年中に次期CX-5から導入される。スカイアクティブXを振り返るとともに、このスカイアクティブZははたして夢のエンジンなのか、徹底解説。

文:渡辺陽一郎/写真:ベストカーWeb編集部、マツダ

2017年に発表されたSPCCI(火花点火制御圧縮着火)技術を搭載したガソリンエンジン。2019年からマツダ3に搭載 
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スカイアクティブXは成功したのか?

2017年に発表されたSPCCI(火花点火制御圧縮着火)技術を搭載したガソリンエンジン。2019年からマツダ3に搭載 
2017年に発表されたSPCCI(火花点火制御圧縮着火)技術を搭載したガソリンエンジン。2019年からマツダ3に搭載 

 マツダは2012年12月に先代CX-5を発売して以来、「スカイアクティブ」の名称で、さまざまな新しいメカニズムを搭載してきた。ステップ1となるスカイアクティブ-Gは世界一の高圧縮比14を実現。ステップ2のスカイアクティブXは世界初のリーン圧縮着火燃焼をするSPCCI燃焼を実現。

 スカイアクティブXは、高い動力性能と低燃費の両立、二酸化炭素の排出抑制を目標に開発された。メカニズムについては、ガソリンとディーゼルエンジンのメリットを掛け合わせたような内容を備える。

ガソリンエンジンをディーゼルのように自己着火させることで、従来以上のリーンバーン(希薄燃焼)を実現し、少ない燃料で高い効率の燃焼を実現した。この燃焼を予混合圧縮着火HCCI(Homogeneous Charge Compression Ignition)という
ガソリンエンジンをディーゼルのように自己着火させることで、従来以上のリーンバーン(希薄燃焼)を実現し、少ない燃料で高い効率の燃焼を実現した。この燃焼を予混合圧縮着火HCCI(Homogeneous Charge Compression Ignition)という

 スカイアクティブXの技術要素として、最も注目されたのが火花点火制御圧縮着火方式SPCCIだ。幅広い回転域、運転状況にわたって、希薄燃焼を可能にした。

 さらに燃焼の支援機能として、スーパーチャージャー(過給器)に準じたメカニズムが搭載され、マイルドハイブリッドも使われている。このほか排出ガスを浄化するシステムとして、クリーンディーゼルに多く使われる粒子状物質を除去するフィルターや触媒も採用されている。

 これらの相乗効果により、現在マツダ3ファストバックXツーリング4WDに搭載されるスカイアクティブXは、直列4気筒2Lながら最高出力が190ps/6000rpm、最大トルクは24.5kgm/4500rpmを発揮する。プレミアムガソリンを使うこともあり、この動力性能はCX-5の直列4気筒2.5Lエンジンに近い。

 その一方でWLTCモード燃費は、4WDシステムを搭載して16.7km/L(6速AT)だ。マツダ3ファストバックに1.5Lエンジンを搭載した2WDの数値が16.6km/Lだから、スカイアクティブXは、2Lの排気量で2.5Lの動力性能と1.5Lの燃費を両立させた。

 しかしマツダ3やCX-30に用意されたスカイアクティブX搭載車は、売れ行きが伸び悩んだ。理由は価格が割高だったからだ。発売当初のグレード構成では、2Lノーマルガソリンエンジンを搭載する20Sプロアクティブツーリングセレクションと価格を比べやすく、スカイアクティブXのXプロアクティブツーリングセレクションは約68万円高かった。

 スカイアクティブX搭載車が高価格だった理由は、スーパーチャージャー、マイルドハイブリッド、粒子状物質の除去フィルターなども含めて、コストの高いメカニズムを多く採用したからだ。2.5Lエンジンの動力性能と1.5Lの燃費を両立させても、価格が68万円も高いと購入しにくい。そのためにスカイアクティブXは、力を入れて開発されながら、販売面では失敗に終わった。

 CX-30はスカイアクティブXを搭載するグレードを既に廃止しており、2025年4月時点で購入できるのは、マツダ3ファストバックXツーリングのみだ。駆動方式は4WDだけで、パッケージオプションと組み合わせられるため、価格はXツーリングブラックレザーパッケージが396万4400円に達する。

 販売店によると、現時点で「マツダ3のスカイアクティブX搭載車は、約2か月で納車できる」としている。それでもCX-30で廃止した以上、今後はマツダ3でもスカイアクティブX搭載車を選べなくなる可能性が高い。

次ページは : 新たな究極の内燃機関、スカイアクティブZに期待できるか?

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