中国で今年4月に発売される日産の新型ミッドサイズセダンN7。実際のところ、その仕上がり具合はどうなのだろう? なんと今回、オート上海2025で開発責任者に話を聞くことができた。どうやらこのN7、聞けば聞くほどワクワクする要素ばかり。ここから日産の中国戦略まで見えてきそうだ。
文/写真:国沢 光宏
【画像ギャラリー】まるでSF!? 日産の新リーサルウェポンN7魔都上海に降臨!(11枚)画像ギャラリー日産反撃の狼煙は中国から!
久しぶりに日産の明るいニュースを伝えられる。中国で4月27日に正式発売される『N7』という新型車、予想をはるかに超える仕上がりでした。残念ながら日本にいるといろんな意味で中国の正確な情報が入ってこない。伝える人の恣意や憶測などを通すからだ。日産のN7も、日本だと「いいクルマ」という評価から「価格競争力無し」という評価まで幅広い。以下、等身大の話など。
オート上海の日産ブースに行くと、山口さんという開発部門要職の方がいて、N7の開発責任者を紹介してくれた。独特の雰囲気の技術者です。聞けば通常なら最前線から卒業しているハズの62歳で、中国に来て開発責任者になって4年目だという。
この人の話、最初から最後まで「中国に於ける日本車の戦い方」のツボのど真ん中。もっといえばトヨタの中国戦略とも重なります。
敵を知り、己を知れば百戦危うからず!?
全てを書くと本一冊分くらいのボリュームになるのでまとめると「中国車は確かに驚異です。戦おうとしたら今の日本の速度感や判断基準だと絶対に勝てない。そこで日本と全く違う組織&基準作りをしました。中国のルールを調べ、勝つことを考えたということです。開発しているうち、いろんなことが解ってきました。細かい部分や経験値は日本の方が優れているな、と」。
例えばADAS。日産も『Momenta』(モメンタ)という中国で広く使われているシステムを使っているそうな。エンジンのセッティングと同じく、回避動作の時のハンドルの切り方やブレーキの掛け方など、幅広く調整出来るようになっている。中国車の場合、素早い回避操作をしようとしても、車体が追いつかない。結果、限界性能を引き出せていないという。
基本設計の悪いエンジンはセッティングでパワーだそうとしても出ない。それと同じ。日産の技術でモメントのシステムを稼働させると、圧倒的に優れた性能になるようだ。何度も「機会あればぜひ乗って欲しいです!」。こういったことが全ての分野に当てはまるという。
これは在りし日の日産技術者じゃないか!
「でも結果的に中国車より高い価格となってしまえば競争力が無くなるのでは?」と聞いてみた。
すると「ここでは言えないんですが、27日に発表する価格を見て頂ければ納得してもらえると思います。BYDに代表される中国勢と真正面から勝負します」。中国のルールを使い、中国で作る。
となれば、そこからの勝負は知見やノウハウ。コストダウンを含めクルマ作りの歴史の長さを活かせるという。繰り返しになれど、トヨタの中国開発TOPも同じようなことを言っていた。
ちなみに電池はLFP(リン酸鉄リチウム)だ。日産、過去何度もLFPを使わないのかと聞いた。その度に「性能が低い!」と否定している。
今回「電池は?」と聞いたらLFPだという。中国で戦うには現時点でLFPしかない。といったことまで従来の日産と違う。いやいや面白いです。元気良かった1980年代の日産の技術者みたい。国沢光宏、なんだか楽しくなってきた。
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