「クロス」付ければ売れる説は本当か!? クロスオーバーSUVのビフォーアフター

「クロス」付ければ売れる説は本当か!? クロスオーバーSUVのビフォーアフター

 相変わらず人気のSUVのなかにあって、乗用車的に接することができるクロスオーバーSUVがとりわけ好調だ。とはいえ、ボディ形状やサイズはさまざまだし、そもそもクロスオーバーって? そこで今回は、「クロスオーバー」を名乗る前と名乗った後のモデルを合わせて紹介しよう。

文/木内一行、写真/スズキ、トヨタ、日産、三菱自動車

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「半世紀以上の歴史を誇る国民車のSUVモデル」 トヨタ・カローラクロス

「クロスつけときゃ売れる説」は本当か!? クロスオーバーSUVのビフォーアフター
「アーバン・アクティブ」をコンセプトとし、SUVらしいダイナミックさに都会的な上質感をプラスしたエクステリアデザイン。全長はセダンと大差ないが、全幅はシリーズで唯一の1.8mオーバー。ホイールベースもセダンなどと同じ

 近年よく耳にする「クロスオーバー」。そもそもクロスオーバーとは「異なる要素をかけ合わせること」や「融合」を意味する言葉で、異なるジャンルをかけ合わせた時に使われるもの。

 クルマの場合、SUVと他ジャンルをかけ合わせた「クロスオーバーSUV」を指すことが多く、カローラクロスもそのなかの1台である。

 カローラといえば、50年以上の歴史を誇る日本を代表するベーシックカー。12代目にあたる現行モデルは、スポーツと呼ばれるハッチバックモデルが先陣を切って2018年に登場し、翌年に4ドアセダンとワゴンタイプのツーリングが投入された。

 これまでのカローラといえば、大衆車、地味、オジさんグルマ……などネガなイメージも少なくなかったが、現行モデルはダイナミックかつスポーティなスタイリングで若々しさをアピール。それでいて、カローラらしい高い実用性や経済性は健在だ。

 そんな国産ベーシックカーの代表格に、「カローラクロス」なるシリーズ初のSUVモデルが追加されたのは2021年のこと。

 「新空間・新感覚 COROLLA」をコンセプトにSUVならではの広い室内空間や高いユーティリティ性に加え、力強い走りと低燃費を実現した。

 エクステリアはSUVらしい力強さを備えながら都会的な雰囲気を演出。ネーミングはカローラだが、その姿に面影はなし。室内もカジュアルなテイストのなかに洗練さをプラスして上質な空間に仕立てている。

 パワートレインは、当初は1.8リッターガソリンとハイブリッドの2種を用意していたが、一部改良でガソリンエンジンが2リッターに変更。さらに、先日のマイナーチェンジでガソリン車は消滅し、ハイブリッドのみとなった。

 優れた経済性や実用性といったベーシックカーの本質と、SUVならではの機動性や利便性が融合したことで、まったく新しいカローラが生まれたのだ。

「コンセプトモデルをもとに開発された輸入車」 スズキ・SX4 Sクロス

 スポーツコンパクトの走りとSUVの機動性を融合させた、新しいジャンルの「スポーツクロスオーバーハッチバック」として開発されたSX4。ハンガリーのマジャールスズキで生産され、欧米でも販売されたグローバルカーだ。

 イタルデザインと共同で開発されたというボディはスイフトよりもひと回り大きく、アウトドア色の強いグレードと、スポーティテイストを強調したグレードを設定。

 2007年には4ドアセダンモデルも追加された。

 そして、2015年にはSX4の車名に「Sクロス」のサブネームを付与してモデルチェンジ。

 2012年のパリモーターショーで発表されたコンセプトモデル「S-Cross」を元に開発されたクロスオーバーモデルで、先代同様マジャールスズキで生産されて日本に輸入されたれっきとした輸入車である。

 コンパクトながらダイナミックなスタイリングのエクステリアは、フェンダーアーチモールやシルバーのアンダーガーニッシュがSUVらしさを強調。

 エンジンは1.6リッター直4のみだが、FFの他にスズキ独自の新システム「ALLGRIP」を採用した4WDモデルも設定。2017年にはマイナーチェンジを行い、フロントマスクを刷新。しかし、2020年には日本での販売が終了となった。

 ちなみに、車名は仕向地によって異なり、「SX4 Sクロス」を名乗ったのは日本だけ。また、初代ほどクロスオーバー的な要素はなく、一般的なコンパクトSUVといった感じだ。

次ページは : 「既存のSUVとは一線を画すスタイリッシュフォルム」 三菱・エクリプスクロス

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