電気自動車、プラグインハイブリッド車(PHEV)など、CEV(クリーンエネルギービークル)の2025年の補助金が正式発表。2024年とどう違うのか? 興味深い点は? などについて国沢光宏氏が考察する。
※本稿は2025年4月のものです
文:国沢光宏/写真:トヨタ、ホンダ、日産、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年5月26日号
ついに発表! 令和7年度のCEV補助金
令和6年度補正予算による令和7年度のCEV補助金が発表。限度額は電気自動車が90万円(普通乗用車)、60万円(軽自動車)、PHEVが60万円となっている。
2024年度からメーカーや車種で金額に差が付けられるようになり、それは2025年も踏襲しているのだが、いろいろ様変わりしている。
諸々の疑問について国沢光宏氏が回答&考察する。
最新の補助金の興味深い点は?
2025年4月から適用されるCEV補助金を見て興味深いのは中国車と韓国車の補助金額が逆転したことと、テスラの優遇である。
2024年度までヒョンデもBYDも同じ金額だったものの、2025年度からヒョンデだと363万円のコナですら67万円の補助を出するのに対し、380万円のATTO3は35万円。意外にも2倍の差をつけた。ディーラー網を作ったBYDのほうが補助金多くてもおかしくないのに。
また、自分勝手な急速充電器ネットや、100Vの電源を取り出せないテスラに87万円の補助を付けるのも違和感が大きい。
このあたりのポイントについては後に詳細について触れていく。
予算は令和6年度と比較して増えた?
「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」の予算額は決まっているのだけれど、けっこう流動的だったりする。
なんせ現在進行形のCEV予算を見ると『令和6年度補正予算』という位置づけになっている。予算額1100億円です。数年前から1000億円+αという予算規模になっており、毎年使い切っていない。
というのも電気自動車の普及が遅れているからだ。今後何年か、こんな感じで予算を使っていくと思う。
BEVの上限は令和6年度よりも増額!?
電気自動車の補助金上限は2024年度まで85万円だったものの(軽自動車は55万円)、2025年から90万円になっている。
理由は「環境対応の鋼材を使ったクルマについて評価する」というもの。クルマの素材である鉄鋼の生産時、膨大な二酸化炭素を出す。日本の生産段階に排出する二酸化炭素の3分の1が鉄鋼業という状況。ここの排出量を減らさなければいかんともしがたい。
そんな理由で環境対応の鋼材を使った電気自動車は5万円の上乗せを始めた。満額の90万円はトヨタとレクサスだけ。日産はアリアとリーフが89万円になった。
なぜ同じモデルでも補助金に差がある?
最もわかりやすいのがソルテラ。FFだと88万円出るのに対しAWDモデルは68万円になってしまう。なのに兄弟車のbZ4XはAWDモデルで90万円の満額だ。基本的に同じクルマながら22万円の金額差が付いてしまった。なぜか?
このあたりは新しい補助金制度の評価に問題あると思う。表向きはディーラーの数、さまざまな基準を設けているとなっているけれど、だとしたらテスラなんかテスラしか使えない急速充電器しか作らず、ディーラーネットすらないのにソルテラより多い87万円を付けている。納得しがたい。
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