生まれ変わった“国民車”トヨタ カローラとマツダの看板車種として一新したマツダ3。両メーカーを代表するニューモデルは、どちらが優れている?
トヨタの定番モデル、カローラは2019年9月に発売され、同年10~12月まで3か月連続で登録車販売1位を獲得。一方、マツダの新世代商品群第一弾となったマツダ3も2019年5月の登場以来、注目を集めている。
似て非なる両モデルながら、サイズ感や価格帯は近く、競合する存在であり、新世代のトヨタとマツダを象徴するモデルとして、大幅刷新されるなど共通点も多い。
注目の2台、果たしてどちらが良いのか? 両車の特長や持ち味も含めて解説したい。
文:渡辺陽一郎
写真:編集部
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扱いやすさや居住性はカローラ優勢!?
外観のデザインは見る人の好みによって異なるが、視界と取りまわし性は、安全性などを左右する。
カローラは、3ナンバー車になって従来型に比べると側方と後方の視界を悪化させたが、マツダ3よりは良好だ。マツダ3のファストバックは、後席側のサイドウインドウが極端に狭く、リアピラー(柱)は太いために後方視界が悪い。
また、カローラは全幅をマツダ3に比べて50mm狭く抑え、車庫入れや縦列駐車はマツダ3よりも容易に行える。最小回転半径は、主力グレードは両車ともに5.3mで等しいが、カローラの15インチタイヤ装着車は5mに抑えた。
内装の質は同程度だが、カローラのデザインには開放感が伴い、マツダ3はスポーティな引き締まり感を重視している。前席は両車ともに快適だ。腰をしっかりと支えて長距離移動にも適する。腰から大腿部に掛けての支え方はマツダ3が優れ、肩まわりのサポート性はカローラが良好だ。
後席は両車ともに同レベルになる。足元空間はいずれも狭く、身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ1つ半にとどまる。
着座位置も低めで腰が落ち込むが、両車とも後席に座る乗員の足が前席の下側に収まりやすく、4名乗車は妨げない。座面の前側を持ち上げて、乗員の大腿部が離れない工夫も施した。
そしてマツダ3のファストバックは、後席のサイドウインドウが狭いため、閉鎖感が強い。狭いながらも後席の居住性はカローラが快適だ。
ディーゼルのマツダ3とHVのカローラ 動力性能はどちらが良い?
エンジンは、カローラが1.8Lのノーマルタイプ、1.2Lターボ(6速MT専用)、1.8Lハイブリッドを用意する。マツダ3は1.5Lと2Lのノーマルエンジン、2LのSKYACTIV-X、1.8Lディーゼルターボだ。
このうち、マツダ3のSKYACTIV-Xは、実用回転域の駆動力が高くて扱いやすいが、価格は2Lガソリンに比べて68万円少々高い。一般的な選択肢ではない。同じくマツダ3の1.5Lも、車両の性格を考えると動力性能が足りない。
カローラの1.2Lターボは6速MT専用で、「レーントレーシングアシスト」や「インテリジェントクリアランスソナー」が省かれる。これらの価格換算額を差し引くと、実質1.8Lに比べて14万円高い。
そうなると動力性能を比べるなら、まずはカローラの1.8Lとマツダ3の2Lだ。排気量の違いで加速力はマツダ3が優れるが、大きな差はない。
カローラの1.8Lは、実用回転域の駆動力が高く、車両重量はカローラツーリングとマツダ3ファストバックの比較で、カローラが50kgほど軽いからだ。カローラは運転しやすい。
カローラのハイブリッドとマツダ3のクリーンディーゼルターボでは、後者がパワフルだ。実用回転域で2.7Lのガソリンエンジンに匹敵する駆動力を発揮するためだ。
ただし、ディーゼルは高回転域の吹き上がりが鈍く、ユーザーによって好みが分かれる。また、ディーゼルの軽油価格の安さを考えても、燃料代はカローラハイブリッドが18%ほど安く抑えられる。
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