乗り心地やハンドリングは両車の持ち味クッキリ
走行安定性は、両車とも今日的な設定で後輪をしっかりと安定させる。そのうえで持ち味の違いも見られる。
カローラは一般的な設定で、速度を高めて曲がると旋回軌跡を拡大させるが、マツダ3はその度合いが小さく、操舵角に忠実に回り込む。そこでアクセルペダルを戻すと、緩やかに後輪を横滑りさせる性格も併せ持つ。
これは良し悪しではなく、持ち味の違いだ。カローラは初心者からベテランまで、誰もが安心して走れることを最優先させている。対するマツダ3は、必要とされる安定性を確保したうえで、スポーティな運転を楽しめることも視野に入れた。
乗り心地も異なり、カローラで16インチタイヤを装着した「1.8S」と「ハイブリッドS」は、操舵感が穏やかで乗り心地に適度な柔軟性があり、車両全体の動きをバランス良く仕上げた。
マツダ3は、買い得な売れ筋グレードになる「20S」と「XDプロアクティブ」に、18インチタイヤを装着している。乗り心地は角が丸く粗さはないが、乗員に上下動を伝えやすく、カローラに比べると硬く感じる。不快感は抑えたが、柔軟で穏やかな乗り心地ではない。
「日本のカローラ」守る名門と「操る楽しさ」のマツダ3
以上のようにカローラとマツダ3は、性格が明確に異なる。
カローラは、内装のデザインから取りまわし性、運転感覚まで、多くのユーザーにとって馴染みやすく仕上げた。3ナンバーサイズになって印象は随分変わったが、本質は「日本のカローラ」を守っている。
対するマツダ3は、運転する楽しさを目指すマツダ車の特徴を色濃く反映させている。後方視界を犠牲にして独特の美しさを追求したボディスタイル、ディーゼルエンジンも含めて、個性を求めるクルマ好きのユーザーをターゲットにしている。
価格も同様だ。マツダ3の「20Sプロアクティブ」は251万5741円、カローラツーリング「1.8S」は221万6500円だ。カローラは設計の古い1.8Lエンジンに改良を施して搭載することにより、装備を充実させながら割安に抑えた。
このように見ると、カローラが多く売られるのは当然だが、それでクルマの良し悪しは決まらない。マツダ3は、少数派になるのを承知で、クルマ好きに受ける商品開発を徹底させた。
両車の違いは、トヨタとマツダという、メーカーの生き方の違いも反映させている。
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