「日本人はなぜアメリカ車を買わないんだ?」と憤るトランプ大統領。「ちょっと待ってください、ミスター・プレジデント」。鈴木直也氏、国沢光宏氏、渡辺陽一郎氏が日本の自動車ユーザーを代表して、トランプ大統領閣下にもの申す!!
※本稿は2025年5月のものです
文:鈴木直也、国沢光宏、渡辺陽一郎/写真:ホンダ、トヨタ ほか
初出:『ベストカー』2025年6月10日号
鈴木直也氏がもの申す!「アメ車が何倍も売れる可能性はゼロ!」

正気なのかわからないトランプ政策。外交用語で言う“マッドマンストラテジー”というヤツだけど、逐一マジメに対応しているとキリがない。
こういう“マッドマン”を相手にするには、言ってることを丸呑みするのもひとつの方法だ。
こと自動車の通商問題に限っては、トランプさんが不公平だと吠えてる項目をすべて特例措置で認めてあげる。
安全基準も燃費規制も関税(これはもともとゼロだけど、特別にアメ車だけゼロにしましたと強調する)も、相手の要望はぜんぶ丸呑み。なんなら、補助金をちょっとあげたって構わない。
それだけやってあげても、アメ車が今の何倍も売れる可能性はゼロということを、身をもって体験していただくしかないですね。
国沢光宏氏がもの申す!「純粋な米国生産車の一覧を出してほしい」
アメリカの自動車メーカーだって、アメリカで販売しているモデルの半分近くを海外から輸入している。いや、パーツなど含めたら純粋なアメリカ車ってどのくらいあるんだろう?
ぜひ日本の交渉チームはアメリカ側に問い合わせてみたらいい。「パーツまで含めたアメリカ生産車のリストを出してください」と言えばいいだけ。トランプさんにお願いし「すべての輸入障壁をなくします!」と言ったらどうか。
我が国の外務省や経産省にはもっと賢さがほしいです。頑張っていただきたい。むしろアメリカで生産している日本車のほうがアメリカ製のパーツを使っている可能性が高い。日本車なら信頼性高いし、日本でもメンテナンスしやすい。
ちなみにシビックタイプRのエンジンってアメリカ製です。車体まで作ればよかろう。
渡辺陽一郎氏がもの申す!「まず日本で買えるアメ車が少ない!」
トランプ大統領は調べてから発言すべきだ。まず日本で買えるアメ車が少ない。フォードは撤退して、正規輸入車はジープなどわずかだ。しかもジープコンパスのように、アメリカ以外で生産されるアメリカンブランド車もある。アメリカ製を買うのは難しい。
ちなみにトヨタは1996年に、GM製シボレー キャバリエの輸入販売を開始した。2.4Lエンジンと当時では充実した安全装備を装着し、セダンの価格は181万円と安い。当時、コロナプレミオに1.8Lエンジンを搭載した低価格のEグレードと同等だった。
しかしキャバリエは日本車風のアメ車で、選ぶ価値が乏しく販売は低迷。日本でアメ車を売るには、日本車や欧州車とは異なる強い魅力が不可欠だ。アメリカ生産の日本車やBMWを輸入するほうが手っ取り早い。


















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