大谷達也「継承された“辰己イズム”を感じる最高に好みな一台」
コンセプトは「ニュルブルクリンクレースカー直系2ペダルスポーツセダン」。
辰己英治氏が手がけてきたコンプリートカー“Sシリーズ”のことを知るSTIファンであれば、そう聞いただけでどんなクルマか想像がつくだろう。
残念ながら先ごろSTIを勇退した辰己氏は開発の初期にしか関わらなかったが、最新モデルである“S210”に乗れば、そこに“辰己イズム”が脈々と息づいていることに気づくはずだ。
たっぷりとしたサスペンションストロークが生み出す優れたロードホールディング、過敏なところはひとつもないのに的確なレスポンスと圧倒的なスタビリティを生み出すハンドリング、そしてドライバーに深い安心感と快適な乗り心地をもたらしてくれる点は既存のSシリーズと何ら変わらない。
ベースモデルとの違いでいえば、コーナリング時の操舵量が明らかに減っているほか、路面から伝わるハーシュネスが軽く、快適性が大幅に高まっている点が印象に残った。
最大の驚きはDモードの仕上がり。スバルの2ペダルといえばCVTを意味するが、スポーツ派ドライバーの頑固な思い込みとは裏腹に、すべてのコーナーでパワーバンドを維持してくれる。そのため、S210のDモードはマニュアルモードより数段速く走れるのだ。冒頭で述べたコンセプトに嘘偽りない仕上がりである。
●ポイント採点チェック
・ハンドリング:10点
・加速性能:8点
・ブレーキ性能:8点
・スタビリティ:10点
・操る楽しさ:10点
・ノーマルからの進化度:9.5点


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