「止まれ」と書いてあるのに止まらない。そんなドライバー、あなたの周りにもいないだろうか? いや、もしかして……自分も? 交差点での一時停止義務違反、じつは重大事故の元凶なのに、意外と「正しく止まる」って難しい! 今回は「一時停止」の現状と課題を掘り下げてみた!
文:ベストカーWeb編集部/写真:Adobe Stock(トビラ写真=moonrise)
一時停止で止まらない……取り締まり件数トップの現状
まず、一時停止が指定されている場所について振り返りたいが、
・踏切
・道路標識などで一時停止すべきことが指定されている交差点
次に、一時停止が指定されている「場合(シチュエーション)」だ。
・歩道などを横切る場合
・横断歩道などに横断歩行者などがいる場合
・緊急自動車が接近してきた場合
このように指定はされているのだが、令和5年の警察庁「道路交通法違反の取締り状況」によると、取り締まり件数トップは「一時停止違反」となっている。2番目に多い「最高速度違反」と比べて1.4倍以上とかなりの数である。これは見逃せないレベルだ。
このなかには、「停止線で止まったけど、実際は停止線の直前ではなくクルマの一部が少し停止線を過ぎていた」や「確実に止まったがそれは一瞬だった」なども含まれていると思われる。
「止まった」と本人は思っていても、実際には止まっていない”見たつもり・止まったつもり”ドライバーが多いというのが事実なのだ。自分ではちゃんと止まって周囲を確認したつもりでも、わずかにクルマが動いていたり、確認のタイミングがズレていたりすると、それはもう「一時停止していない」と見なされる。
たとえば一時停止線の手前でピタッと止まらず、「交差点に少し頭を出してから止まる」クセがあるドライバーは危険だ。これでは視界は開けるかもしれないが、対向車や歩行者から見れば“いきなり出てきた”ように映る。事故のリスクは跳ね上がってしまう。
ちゃんと止まってるつもりでもNG!? 「静止時間」でアピールすべし!
では、一時停止とはどうすれば正解なのだろうか? 答えは明確。「停止線の直前で完全に静止し、左右の安全を確認する」ことだ。しかも“完全に”がキモで、タイヤの回転が完全に止まって、最低でも3秒は静止したい。とはいえ、この3秒という数字も法的に規定されているわけではなく、警察官にうだうだ言われないための時間だと思ってほしい。3秒も止まれば、きちんと止まっていると見えるだろう。
しかし、ただ3秒止まればいいワケではない。左右の安全を確認せず「ぼーっと前方を注視していた」では意味がない。
ちなみに、“直前”とは少々わかりにくい表現だが、おおむね2m以内と考えてもらいたい(道路交通法の規定はない)。「停止線は車両のいかなる部分もその線を越えてはいけないことを示す標示」なので、例えば「バンパーが停止線にかかっている」などはアウト。逆に、「越えてはいないけど、停止線よりクルマ1台分も離れていた」も、“直前”と言えない。
なぜ「ちゃんと止まれない」のか? 原因は“慣れ”と“勘違い”
「一時停止って、わかってはいるんだけどねぇ……」という読者は多いだろう。これはドライバー心理と密接に関係している。
人間は「いつも通ってる道だから」、「ここはクルマがこないから」と思い込むと、無意識に手を抜いてしまう。さらに、見通しのいい道や住宅街では、「止まらなくても大丈夫だった」という経験が積み重なり、“慣れ”が油断を生む。この油断が、事故や違反の温床になっている。
もし違反をした場合は、「一時停止義務違反」として違反点数と反則金が科せられる。一時停止義務違反には、「指定場所一時不停止等違反」と「踏切不停止等違反」の2種類があり、いずれの違反も違反点数は2点。反則金を期日までに納めない場合は、3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科される。









コメント
コメントの使い方確かに完全停止ってとこで、1度だけ一時不停止で違反を指摘されました
歩行者がいたら、道を譲っての完全停止をするように心がけてはいたのですが、ちょうどその時は歩行者も全くおらず、減速して安全確認して、一瞬停止で進行したら、警察官から一時停止が不十分と言われました
今まで違反0だったのにとうとうやってしまったと凹みました