惜しまれずに消えた!? 「派生グルマ」たちの悲喜こもごも

惜しまれずに消えた!? 「派生グルマ」たちの悲喜こもごも

 多様化するユーザーへの対応やセールス拡大を狙って開発される派生モデル。これまでに数え切れないほどの派生車種が生まれてきたが、成功したものばかりではなく、なかには不発だったモデルも少なくない。今回は、セールスを伸ばすことができず、惜しくも消えていった派生車種たちを紹介しよう。

文/木内一行、写真/ダイハツ、トヨタ、日産、ホンダ、三菱、CarsWp.com

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「カローラファミリーなのに見た目はbB!?」 トヨタ・カローラルミオン

惜しまれず消えた!? 迷走「派生車種」たちの悲喜こもごも
箱型の2ボックスシルエットに、大型のロアグリルを備えたフロントマスクや張り出したフェンダーで力強さをプラス。コンパクトサイズとはいえ、全幅は1760mmあり完全な3ナンバーサイズとなる。全体的な雰囲気は初代bBっぽい

 日本のベーシックカーとして長らく活躍してきたカローラ。

 60年近い歴史のなかでレビンやスパシオ、セレスなどの派生車種が生まれてきたが、なかにはカローラっぽくない個性的なモデルもあった。それがカローラルミオンだ。

 一番の特徴はなんといっても四角いフォルムで、カローラというよりはbBのような雰囲気。それもそのはず、北米ではサイオンブランドの「xB」(2代目)として販売され、その初代がbBだったのだから。

 そんなカローラっぽくないルミオンは、シャシーもカローラではなくオーリスやブレイドがベース。ボディサイズも全長こそ約4.2mだが、全幅は1.76mと完全な3ナンバーサイズとなる。

 そのスクエアなフォルムから想像できるよう室内空間は広々。ラゲッジスペースも広く、後席を倒せば積載量もたっぷり。

 個性的な見た目や道具としての使いやすさなどルミオンには魅力的な部分もあるが、北米では若者から支持されたものの日本での人気はイマイチ。

 最終的には北米でサイオンブランドが終了するとともにxBも販売終了。それに合わせ、ルミオンも一世代で消滅。カローラの名に相応しいヒットを生み出すことはできなかった。

「ショーファーカーだって扱いやすいほうがイイ!」 日産・プレジデントJS

 日産が誇るショーファーカー、プレジデント。他を圧倒するボディサイズとデザイン、上質な室内、ゆとりの走りを生むエンジンなど、どの世代もさすが最上級車と思わせるもの。

 ただ、3代目には「プレジデントJS」と名付けられたちょっと控えめなモデルがあった。

 プレジデントとの違いはホイールベースで、市街地での扱いやすさを高めるために全長およびホイールベースを150mm短縮。つまり、ベースとなったインフィニティQ45と同じ寸法に戻したということ。

 その他、装備やグレード構成の違いはあれど、V8エンジンや4輪マルチリンクサスペンションといった基本メカニズムはプレジデントと同じ。そのため、横から見なければ違いを確認することが難しいのだ。

 たしかに、要人を乗せて都市部や狭い道路を走ることもあるだろう。ボディサイズが大きいゆえ、扱いに困ることがあるかもしれない。

 しかしそこは日産が誇る最上級車。その威厳を守るためにも、通常のプレジデントだけでよかったのではないだろうか。

「広さなんて関係ナシ! デザイン重視のクーペスタイル」 ホンダ・N-BOXスラッシュ

 圧倒的な人気のN-BOXを筆頭に、売れに売れているNシリーズ。

 そのなかでも、2014年から2020年まで販売されていたN-BOXスラッシュは、かなりの異端児だった。

 軽ワゴンは限られたサイズのなかでスペース効率を高めようとするモデルが多いが、N-BOXスラッシュはとにかくデザイン重視。

 初代N-BOXよりも全高を100mm低くし、後方に向かうにつれてルーフラインを下げながらウィンドウラインを上げることで、クーペのようなスタイルを構築。さらに、メッキ加飾を加えてカスタム感も強調している。

 インテリアもユニークだ。デザイン自体はそれほど奇抜なものではないが、オプションで5種類用意されたインテリアカラーパッケージ装着車は、かなり個性的な装いになる。

 また、ルーフを低くしたことで室内の狭さが懸念されるが、もとのN-BOXの室内が広大なため、そこまで窮屈さを感じることはないだろう。もちろん、N-BOX譲りのシートアレンジも健在だ。

 このように個性の強いN-BOXスラッシュは、こだわりが詰まった内外装が一定の評価を得ながらも売り上げを伸ばすことができず、姿を消していった。

 見た目のカッコ良さは軽ワゴンのなかでもトップクラスなだけに惜しい存在だ。

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