真夏の直射日光のもとに駐車された車内は、ものの数分で「地獄」と化します。クルマに乗り込んだ瞬間、息苦しくなるほどの熱気に包まれ、すぐに窓を閉めてエアコンを全開にしたくなりますが……ちょっと待って!! 実は、エアコンを最速で効かせるには、「最初にやるべきひと手間」があるのです。
文:吉川賢一/アイキャッチ画像:Adobe Stock_ Jo Panuwat D/写真:Adobe Stock、写真AC、JAF
【画像ギャラリー】夏本番!! めちゃくちゃ暑くなった車内を速攻で冷やす手段はどれがいい?(8枚)画像ギャラリー「まず熱を逃がす」が基本!
一刻も早く車内を快適な温度にするには、「こもった熱を外に出すこと」が先決です。エアコンは、取り込む空気の温度が低いほど効率がよく、室温が高すぎる状態でエアコンを回してもなかなか涼しくならないからです。
具体的な方法としては、JAFが行ったユーザーテストの結果が参考になります。灼熱の車内を驚くほど短時間で快適温度にすることができたようです。
JAF実証済み!最速冷却テクニック
実験では、炎天下で車内温度が55度に達したクルマを使用し、エアコンはAUTOモードで外気導入、設定温度はLo(最低)でONに。その状態で、「すべての窓を全開にして走行→2分後に窓を閉め、内気循環に切り替え」という操作が行われました。
その結果、走行開始から5分後(内気循環に切り替えてから3分後)には、車内温度が28.0度まで低下したそう。こもった熱を逃がしたうえで、内気循環によって効率的にエアコンを作動させたことで、わずか5分で快適な温度まで下げることができたのです。
実験ではほかにも、窓は開けずに、エアコンの設定を内気循環にした場合と、外気導入にした場合についても検証されましたが、内気循環では10分後に27.5度、外気導入でも10分後に29.5度と、「エアコン+走行」の5分後と同程度の温度帯になるまでに、倍の10分もかかってしまいました。この差は大きい!
ほかにも、助手席の窓を開けた状態で運転席ドアをパタパタさせた場合や、クルマのボディに水をかけた場合、冷却スプレーをシートに吹き付ける、などについても検証されましたが、ドアパタパタの効果は窓全開での走行と変わらず、水をかけた場合はバケツ(8L)3杯の水をかけても、車内温度は0.9度しか下がらなかったようです。冷却スプレーは3分後に50度までは低下させることができたようですが、そもそも可燃性ガスが使われていることが多い冷却スプレーを車内で使うことは危険であるため、注意が必要です(使うなら火気厳禁!!)。
夏の駐車時、車内温度を最も早く下げる方法は?(JAFユーザーテスト)
窓の開け方にも「効率ワザ」あり!
すべての窓を全開にするのはちょっと…という場合は、「対角線上に窓を開ける」だけでも効果があります。たとえば、運転席と助手席側後部座席、もしくは助手席と運転席側後部座席の窓を開けると、空気の流れがスムーズになり、効率よく熱気を逃がすことができるためお薦め。筆者もよくやっています。
また、車内温度を下げるには、ステアリングホイールやダッシュボードを濡れタオルでひと拭きする、などの「あわせ技」も有効。表面温度をグッと下げることができます。
もちろん、サンシェードを活用したり、窓を少しだけ開けておく、などで、車内温度の上昇をできる限り抑える、というのも有効ですし、エアコンフィルターの定期的な清掃・交換も忘れないようにしたいところ。また、シートベルトの金具やチャイルドシートのバックルなど、特に熱を持ちやすい金属パーツは、布などで覆っておくのも手です。サンシェードを設置したり、濡れタオルで拭くのは面倒という場合は、ステアリングホイールだけでも、タオル等で覆っておくと、熱くて(ステアリングホイールが)持てない、ということが軽減されます。











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