GT-Rvsポルシェ911ターボ、どっちがベスト?(渡辺敏史編)
費用対ダイナミクスという点において、GT-Rはいまだ図抜けた存在であることに疑いはない。が、静的・動的質感がもたらすクルマとしての総合的な楽しさでは911ターボがGT-Rを圧しているのも確かである。
登場から7年近くの時が経つGT-Rだが、弛まぬ進化の手立てはそれなりに奏効しており、今も動的な質感にはさほどの古さは感じられない。
サスセットがストリート寄りになった現行型でも、最新の911ターボに対して運動性能そのものに致命的な見劣りがないのは日産の開発陣にとっても救いだろう。
今後のリファイン次第ではまだまだ違った一面を見せてくれるし、そこにはFRベースのGT-Rだからこその官能性も盛り込まれる余地があるはずだ。個人的には、日本の至宝ともいえるすばらしい素材の、新たな魅力の開眼に大いに期待している。
(TEXT/渡辺敏史)
日産GT-R NISMO vs ポルシェ911GT2/GT2RS 究極の史上最速モデル対決

最高速度を除けば(GT-Rニスモは未発表だけど)、代表的な性能スペックでGT-Rニスモが911GT2/GT2RSに勝っていることは数字が明白に物語っている。
なんといっても(ニュルアタックパッケージとはいえ)ノルドシュライフ7分8秒台という数字の意味するものは、“驚異”以外のなにものでもない。おそらく今年デビューする新型GT2もGT2RSの数字から想像するにそこまで過激なラップタイムを叩き出すとは思えない。
それでいて、例えニュルパッケージを選んだとしてもまだ911GT2よりは安い。問題は、何を望むか、なのだ。誰にも負けない速さなのか、それとも、ただただ乗って楽しいと思えることなのか。
前者は言ってみればレコードカーの領域で、まさにGT-Rの真骨頂だ。後者はいわゆるスポーツカーの領域で、ポルシェがGT3やGT2といったグレードで鮮やかに実現している。
運転していて素直に楽しい! と思えるのは、やはりGT2。これはもう、ガレージを出た瞬間から、ワインディングやサーキットはもちろんのこと、高速道路を走っている時まで、全域で“楽しい!”と思える。
ポルシェターボの持つ圧倒的な動力性能を、決してクルマ任せにはさせない、という、ある種の人間味がGT2には備わっているからだ。具体的には、より自由度の高いハンドリングであり、ハードな乗り心地であり、耳をつんざくエキゾーストノートであり、そして小刻みな振動といったもの、である。
これらがすべてドライバーの一挙手一投足に集まってくる、というゾクゾクするような感覚、ときにはスリル、が、GT-Rには決定的に欠けている(もともとそういうクルマだ)。ニスモでもそこまでの刺激はない。
いやそういう感覚はスポーツカーをスポーツカーとして長きに渡り鍛え上げてきたブランドならではの境地であり、ニッサンも日本のメーカーのなかでは実にいいセンまでいってはいるものの、さすがにポルシェには及ばない、といったところか。
というわけで911GT2の勝ち! とは単純にならないのが、この手のクルマの面白さ。
冷静になって考えてみると、よほどポルシェ好きでもない限り、運転して楽しいと思えるクルマはほかにいくらでもあるんじゃないか。
GT2の楽しさには及ばないとしとも、運転を心から楽しみたいというだけなら、それこそGT-Rと同じ予算を出せば、候補なんてごろごろと見つかると思う。いっぽうで、世界第一級の数字を手に入れたい! と思うと、これはもう三千万円級の予算を、最低でも用意しなければ、まるでハナシにならない。
そう考えると、がぜん、GT-Rの、その唯一無比の魅力が、再び冴えわたってくるのだ。
(TEXT/西川 淳)
【日産 GT-R NISMO DATA】
エンジン:VR38DETT、3.8L V6ツインターボ(NISMOチューニング)/最高出力:600ps/6800rpm/最大トルク:66.5kgm/3600~5600rpm/車両重量:1720kg/0→100km/h、最高速度ともに未公表/全長4680×全幅1895×全高1370mm、ホイールベース:2780mm/価格:1544万40000円
【ポルシェ 911GT2/GT2RS(997型)DATA】
エンジン:3.6L水平対向6ツインターボ/最高出力:620ps/6500rpm/最大トルク:71.4kgm/2250~5500rpm/車両重量1370kg/0→100km/h=3.5秒、最高速度=330km/h/全長4469×全幅1852×全高1285mm、ホイールベース:2350mm/価格:23万7578ユーロ(当時のレートで約2800万円)
※GT2は530ps/6500rpm、69.4kgm/2200~4500rpm、0→100km/h=3.7秒、最高速度は329km/h

コメント
コメントの使い方