カローラといえば、日本一売れたクルマ、そして世界一売れたクルマでもある。国内でも海外でも、その販売力は凄まじい。特にカローラで売れ行きが良いのが、3の倍数の世代だ。そこで、3代目・6代目・9代目のカローラを振り返りながら、販売力の源を探っていきたい。
文:佐々木 亘/画像:トヨタ
車名別生産台数で初の世界一になったカローラ
1974年に登場した3代目カローラ。車両型式がE30で、サンマルカローラという呼び名で親しまれた。
経済性を維持しつつ、上級車並みの安全性と快適性を確保するというテーマで開発された3代目は、メリハリの効いたフロントマスクデザインがカッコいい。2ドアクーペから発展した、2ドアハードトップも人気を集めていた。
大衆車であるカローラに、質の高さを加えた3代目は好調に売れた。特に発売年に乗用車の車名別生産台数世界一に輝いた実績は、素晴らしいの一言。総生産台数は119万台を超えている。カローラのみならず、トヨタの名を世界に広げる役割も担った名車だ。
カローラ飛躍の秘訣は「高級化」にあり?
1987年5月に登場した6代目カローラ。開発テーマは、クラスを超えた世界のハイクオリティセダンであった。
先代よりも丸みを帯びたデザインに進化し、全高を低くしながら全幅と全長を拡大したことで、ロー&ワイドのスタイルに変身。カムリやマークIIといった、上級モデルにも近しいデザインになっている。
インテリアは、クラスを超えた豪華さを演出。当時流行していたスーパーホワイトIIのボディカラーにマルーンのインテリアカラーを採用したのは、クラウンやマークIIと同じだ。
インパネ周辺には、照明を点灯させると外周部が輝く「クリスタルリングメーター」を採用し、上級グレードでは空調操作スイッチの一部にプッシュボタン式を採用している。
高級路線を打ち出した6代目は、バブル景気の追い風も受け大ヒット。1990年には車名別年間販売台数で30万台を記録(カローラレビンとの合算)している。この記録は、2010年に3代目プリウスに塗り替えられるまで、国内最多の記録だった。
伝統の主力モデルは変わることを決意
2000年に登場した9代目カローラは、「New Century Value」・「変われるってドキドキ」というテーマを掲げ、これまでのカローラからの変革を目指していた。
21世紀を目の前にした当時、ユーザー層の年齢上昇が顕著だったカローラ。保守的なイメージからの若返りを図るべく、9代目ではプラットフォームを一新し、ボディデザインも大幅に変更している。
カローラという名前は4ドアセダンのみに使用され、5ドアワゴンには新たにカローラフィールダーという車名が付けられた。
ボディサイズは、先代に対してホイールベースを135mm延長し、全長を50mm、全幅を5mm拡大している。また、全高85mm拡大してキャビンを前進させたことで、ボディ全体に塊感が生まれた。
室内にはソフトパッドや木目調パネルを使用して高級化をアップし、一部グレードにはメタル調パネルを設定して、若者向けのデザインも取り入れている。テレビCMにも木村拓哉さんや柴咲コウさんなど、若者に人気のタレントを多数起用し、イメージの刷新を図った。
2002年には登録車名別年間販売台数で、33年続いた首位の座をフィットに明け渡したものの、それ以外の年では1位をキープするなど好調な売れ行きをキープ。フィールダーは若年層のユーザーを数多く獲得し、結果的にカローラは若返りに成功している。
3・6・9代目では高級感や若返りを軸に、大きく進化したカローラ。現行型は12代目でこちらも期待できる3の倍数。セダンを筆頭に、スポーツ・ツーリングそして大人気のカローラクロスと、再び国民的なクルマとして復活を遂げた形だ。
3の倍数で進化し、強くなり続けてきたカローラ。今後もカローラシリーズの勢いは、止まらないだろう。













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