2025年も半分が過ぎた。この半年間、自動車業界では大きなニュースがいくつも駆け巡ったが、やはり日産の話題が群を抜いて目立っている。5月には、日本自動車産業史上2位となる巨額の赤字となることを発表。日産は大丈夫なのか!?
※本稿は2025年6月のものです
文:井元康一郎/写真:日産
初出:『ベストカー』2025年7月26日号
赤字解消への打開策は?
2025年5月13日、日産は2024年度決算で6708億円もの赤字になると公表した。
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日産は2024年度決算で6708億円の最終赤字に転落。日本自動車産業史上2位の巨額赤字(1位も日産)ということで、倒産危機かと世間の耳目を集めた。
結論から言うと、日産はまだ“急死”するような状況には至っていない。巨額赤字となったのは、利益を生むと主張してきた工場などの資産が現実には無価値であることを認め、その分を損失として計上したため。
それに伴って資産額は減ったが、何千億円もの現金が吹っ飛んだわけではない。本業の利益を表す営業利益は697億円と、赤字すれすれではあるが何とかプラスを保てている。
とはいえ、日産の将来性が明るいとは言えない。2018年の“ゴーンショック”以降、業績悪化のトレンドを変えられないまま現在の惨状に至った。営業黒字を出せていた時も、ローンやリースなどの販売金融だのみで、自動車事業は赤字の年度がほとんどだった。
自動車製造で、ある程度利益を出せる体質を構築しないかぎり、日産は本格的な経営再建を果たすことはできないだろう。2025年4月に就任したイヴァン・エスピノーサ社長が、日本を含めグローバルで7つの工場を閉めるという強烈なリストラ策を出したのはそのためだ。
あとは売れる商品を出せるかどうかにかかっているが、これが難関。日産の打つ手が見ものである。

















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