編集部の要望:13年超で自動車税が上がる制度は時代遅れ? 欧州のヒストリックナンバー制度に学ぶ
現状、日本では新車新規登録からガソリン車で13年経った車両は自動車税が15%(軽自動車は20%)の重課制度となる。さらに自動車重量税は13年超が約40%、18年超で約50%それぞれ重くなる。
この13年というのは、自動車平均使用年数からはじき出したもので、2019年では自動車平均使用年数は13.26年となっている(自動車検査登録情報協会)。自動車平均使用年数はわずかだが年々伸びている。
車検の時の重量税も登録車が13年以上から18年未満は約40%増し、18年以上が約50%増し、軽自動車も13年以上から18年未満は約20%増し、18年以上が約30%増しとなる。
ただでさえ、税金が高いうえに、13年超のクルマから増税。しかも、あと10年、15年もすると純エンジン車の新車販売禁止……。いったい、自動車ユーザーをなんだと思っているのか。古いクルマを大切に乗り続けることは、新しいクルマに何回も乗り替えるよりも、エコロジーに寄与しているのではないか。
一方、ドイツでは「ヒストリックナンバー制度(Hナンバー)」が整備されており、30年以上のクラシックカーを文化財として認定し、一律の低額税(約200ユーロ)で優遇している。
さらに「シーズンナンバー」という期間限定のヒストリックカー用ナンバーも用意され、年間の税金を12ヵ月で割り、使用月間分を掛けた額を支払うことで取得でき、「Hナンバー」と「シーズンナンバー」を組み合わせて、使用期間ぶんを税金として支払うこともできる。
ちなみに「Hナンバー」の保有台数が、2020年1月現在で50万台を突破して過去最高の保有台数を記録しているのは、いかにドイツ国民が古いクルマを愛しているかがわかる。
イギリスやフランスでも同様に、一定年式を超えるクルマを「文化遺産」とみなし、課税を免除または軽減する制度がある。これにより、クラシックカーの維持が奨励され、自動車文化が次世代へと継承されている。
日本でも、旧車愛好家や地方で長く同じクルマを使い続けるユーザーの声を取り入れ、13年超課税を廃止し、整備状態や排出基準で評価する制度への転換が必要だろう。
さらに、欧州のように「ヒストリックナンバー」制度を導入し、文化的価値を持つ車両を優遇する枠組みを設けることで、日本独自の自動車文化を守りつつ、課税の合理性も高められる。
まとめ:暫定税率廃止後は「環境性能割・重量税」が焦点
ガソリン暫定税率の廃止は、実現する可能性が非常に高い。一方で、次に見直すべき課題として浮上しているのが、環境性能割と自動車重量税である。
環境性能割はもともと旧自動車取得税の代替として導入されたが、取得時の課税という性質上、買い替えを抑制する要因となり、市場活性化の妨げになっているとの指摘が多い。また重量税は道路特定財源としての役割を終え、いまなお車検時に課税され続けることへの利用者不満が根強い。
これらの税制をどう再設計するかは、クルマ社会の公平性と産業政策の両面で極めて重要だ。単なる減税ではなく、CO2排出や走行距離など、より合理的な基準への置き換えを検討すべきだろう。さらに、税収減を補うための代替財源や、地方財政への配慮も欠かせない。
とくにEVシフトが進むなかで、従来の燃料課税に頼る構造は持続不可能である。重量税や環境性能割を見直しつつ、利用実態や環境負荷に応じた「新時代の自動車課税モデル」への移行が不可避だ。これこそが多重課税からの脱却と、公平で持続可能な制度設計への第一歩となる。
・ガソリン暫定税率廃止は与野党の合意が広がり実現するのは間違いない
・次の改正ターゲットは環境性能割の廃止と重量課税の再設計
・EV課税は「重量+CO2+走行」の複合モデルが国際的潮流
・地方・物流負担の軽減策が不可欠
多重課税から脱却し、シンプルかつ公平な税制への転換がいま求められている。


コメント
コメントの使い方全体として維持・購入費・税を考えた時、日本よりも安く車を所有できる国というのは滅多に無いです
その現実をスルーしないと批判は難しいですから、こういう話のとき、必ず諸外国での車所有の高額さを
あえて無視し直接比較しないようにしています。それだとただ感情的に叩くだけになって、議論にならず解決に進まないです
まず日本車環境の抜群の良さを提示し、その上更に求めるなら【車の為に何を削るか】を討論すべきです