300km/hの向こう側へ
スクーデリア・フェラーリが育てたツインターボのパワーユニットは、アクセルの扱いが少しでもラフだと手痛いしっぺ返しを食らう。
だが、その危うさこそが真の魅力。アクセルを床まで踏み込むと、空力に優れた大型リアウイングの恩恵を受けつつ、F40が公道初の300km/hオーバーを叩き出す実力がホンモノだと実感する。
猛暑の真夏でも熱ダレを一切感じさせない耐久性は、モータースポーツで鍛え抜かれたフェラーリの真骨頂だった。
今なお価値を高め続ける伝説
現在、F40の市場価格は世界的に高騰中だが、11年前にヨーロッパの歴史あるRMオークションで元F1ドライバー、ナイジェル・マンセルが所有していた個体が約1億円で落札されたというニュースは記憶に新しい。
所有者のネームバリューが付加価値を生み、F40の伝説にまたひとつ新たな物語が加わった。しかし、38年も前に誕生したマシンは、今なお最高峰の存在であり続けている。それこそが、F40がフェラーリの理念がつまった本物の跳ね馬である証だ。
Tipo F120A型エンジン解説
F1GPがターボ全盛期だった当時、Ferrariにおいても過給機付きエンジンを開発。F40に搭載されたTipo F120A型は先代スペチアーレ「GTO」のF114Bエンジンをモディファイ。排気量2855ccから約2936ccへボアアップし、加給圧も0.8barから1.1barに上げられより過激なパワーユニットに変貌。
90°バンク型8気筒32バルブDOHCインタークーラー付ツインターボの最高出力は484.6ps/7000rpm、最大トルク58.8kgfm/4000rpmを発生。車両重量は1100kgを実現しパワーウェイトレシオは2.27kg/psを誇る。
燃料供給はウェーバー・マリレ製。タービンは日本のIHI製が採用され、ベール製の大型インタークーラーも標準装備された。潤滑油系統はドライサンプ式にすることで限りなく低く搭載し旋回性能を追求。
カタログ上の最高速度は324km/h。日本では「レーシングサービスディノ」の切替徹氏が、常磐自動車道で本当に300km/h出るのか試した実証映像が話題になった。



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