スズキには、軽自動車には硬派なジムニー、ややソフトなハスラー、ギア感あふれるスペーシアギアが用意され、リッターカークラスには同じく硬派なジムニーシエラ、ソフトなクロスビー、個性派のイグニス、そしてそのさらに上にSX4 S CROSSやエスクードと、多くのSUVが用意されている。ユーザーに、より多様な選択肢を提供しているのだ。
本稿ではそのなかでも、特にヒットモデルとなった新型(2代目)ハスラーの魅力を中心に、自動車生活冒険家の石川真禧照氏に存分に紹介していただいた。キュートなデザインを持ち、ワクワクする価値観を提供することで大ヒットモデルになった初代ハスラー。それに続いて登場した新型は、どのような進化を果たしたのか。本稿で確かめていただきたい。
文:石川真禧照 写真:ベストカーWeb編集部、スズキ
■初代が大ヒットした難しいなかでの連続ヒット
スズキのアクティブ軽クロスオーバーカー、ハスラーがフルチェンジし、発売された。6年ぶりに新しくなったハスラーは、これまでのコンセプトを踏襲しながら時代のトレンドやライフスタイルの変化に対応しながら、さらに楽しいクルマに仕上がっていた。
初代ハスラーは2014年1月に発売された。今回の新型登場までの6年間に約42万台を販売している。単純計算で1ケ月に6700台も販売されていたことになる。これはヒット商品と呼べる台数だ。実際にスズキの軽自動車ラインナップのなかでもスペーシア、ワゴンRに次ぐ人気車種になっている。
それだけに、新型を開発するにあたり、このヒット商品を凌ぐクルマをつくらなければならなかった。結論から言えば、スズキ開発陣のこの目論みは大成功しているといえよう。
さっそく2代目ハスラーをチェックしてみよう。
ボディサイズは軽規格なので全長、全幅は先代と同じ。しかしホイールベースは35mmも延ばされている。全高も15mmプラスだ。このサイズアップは居住空間の向上に貢献している。先代の室内もフロント、リアともに広々としていたが、新型はさらに開放感がある。前後席間の距離や左右乗員間の距離に余裕が生まれた。
スタイリングも、ハスラーとわかるフロントマスクを継続しているが、リアクォーターにサイドウインドが備わったのがポイント。ナナメ後方の視界が向上した。さらにボディとルーフのカラーリングにメリハリがつき、とてもスタイリッシュになっている。
先代を横に並べてみるとよくわかるが、より角ばったデザインを採用しており、それが「ハスラーらしさ」を増している。遊び心あふれるカラーリングも特徴的で、こういうクルマが街中に増えると、景観が華やかになるだろう。
初代ハスラーがヒットした理由は、当時人気があったワゴンタイプの乗用車と人気上昇中のSUV(多目的スポーツ車)を研究していた開発陣が、人気のある2タイプのモデルを合わせたクルマをつくったらどうだろう、という発想からだった。それまでにないクロスオーバーカーというジャンルを軽自動車につくり出したのだ。
2代目になり、その魅力はさらにアップしている。
NAエンジンは新開発だが、CVTとの相性が抜群によい。これまでの軽自動車は、ターボモデルはトルクもあり、走りの余裕が感じられたが、NAモデルは価格の安さや実用性で勝負し、走りはあまり追求されていなかった。ところが、新型ハスラーのNAエンジンは1500回転あたりからトルクがあり、2500回転から上のレスポンスのよさは、スポーティモデルレベル。エンジン音も抑えられており、従来のNAモデルの不満がほとんどないのだ。もちろんターボモデルはM(マニュアル)モードやパドルシフトも備わり、走りの楽しさが味わえる。
ハンドリングは新開発の次世代プラットフォーム(HEARTECT=ハーテクト)の効果で常に安定感と安心感を両立させている。先進安全技術は夜間の歩行者も検知する「デュアルカメラブレーキサポート」を加え、「後退時ブレーキサポート」を標準装備にするなど充実させている。
大ヒットのあとにヒットを生み出すのはむずかしいが、新型ハスラーは先代を上回るヒットモデルになることは間違いなさそうだ。
以下、スズキに用意された、そのほかのSUVモデルを順番に見ていこう。
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