【帰省特集】 実家や観光地のホテル駐車場でクルマを盗まれないために! 愛車を盗難から守る防犯対策の嘘ホント

【帰省特集】 実家や観光地のホテル駐車場でクルマを盗まれないために! 愛車を盗難から守る防犯対策の嘘ホント

 帰省や長期旅行で実家や観光地にクルマを長く停める際、油断してしまい、盗難されるケースが増えています。そこで本記事では最新の車両盗難状況や、盗難防止対策を紹介します。

文:ベストカーWeb編集部、写真:Adobe Stock(トップ画像=Haru Works@AdobeStock)

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実家や観光地では気が緩みがち! 都道府県別盗難多発地域ランキング

 自宅駐車場では盗難に気を付けていても、実家に帰省したり、観光地の駐車場や泊るホテルの駐車場では自動車盗難の危険が高まります。盗難が多発する地域に実家やホテルがある場合、盗難対策を施すべきです。最近ではコンビニやレストランの駐車場や、旅行先の観光地の駐車場にひと晩のうちに盗難されているケースも増えてきました。

 警察庁の盗難認知件数ベースでは、令和7年1~5月時点で愛知・埼玉・千葉・茨城・神奈川のトップ5県が全体の56.8%を占めています。認知件数の動向(令和4年→令和5年比較、千葉+19%、埼玉+12.7%、神奈川+67%、茨城+4.8%など)は依然として関東中心に高水準です。

盗難多発都道府県ランキング(車両盗難)。出典:日本損害保険協会
盗難多発都道府県ランキング(車両盗難)。出典:日本損害保険協会

 車両盗難の認知件数が50件を超える都道府県ですが静岡県(前年19件→153件)、長野県(前年20件→50件)、群馬県(前年90件→180件)、岐阜県(前年41件→67件)、神奈川県(前年197件→本年320件)、大阪府(前年174件→本年277件)、愛知県(前年368件→567件)、茨城県(前年229件→331件)埼玉県(前年363件→422件)、栃木県(前年119件→本年132件)となっています。

 日本損害保険協会(2022~2024年の累積調査)でも、愛知県が3年連続で盗難支払件数トップ。2024年は2499件の本体盗難、720件の部品盗難が発生し、被害増加傾向にあります。これらの地域に行く際には気を緩めずに盗難対策を施しましょう。

 車両本体盗難の発生時間帯は「深夜〜朝(22時~翌朝9時)」が59.3%、「日中(9~17時)」が27.1%、夕方帯は7.3%にとどまります。車上狙い(部品盗難)は720件に対して、車両本体盗難が2499件と圧倒的です。

車両本体の盗難発生時間が多いのは22時~翌朝9時(toa555@Adobe Stock)
車両本体の盗難発生時間が多いのは22時~翌朝9時(toa555@Adobe Stock)

 また自動車盗の発生場所については、「一般住宅」が最も多く、令和6年は全体の 42.9%と、約4割が一般住宅において盗難被害に遭っています。また、依然として「駐車場」における発生も多く、令和6年は全体の 27.0%となっています。

 この警察庁のデータではざっくりしているので、令和7年1月~6月末までに自動車盗難が396件発生した神奈川県警の場所別発生状況のデータを見ると、やはり自宅駐車場以外の駐車場が47.5%で、次いで中高層住宅(マンション)、一戸建て住宅と続いています。

出典:神奈川県警
出典:神奈川県警

2025年上半期 車種別盗難ランキング(警察庁)

2025年上半期の盗難台数が765台と前年同期比約30%アップしたランドクルーザー。データにはプラドや250、300など年式含め一緒になっている
2025年上半期の盗難台数が765台と前年同期比約30%アップしたランドクルーザー。データにはプラドや250、300など年式含め一緒になっている

 では車両盗難はどんなクルマが多いのでしょうか? 令和7年(2025年)1〜6月の「車名別盗難台数(警察庁発表)」で最も被害が多かったのはトヨタ ランドクルーザー(765台)。前年同期比で約30%増と深刻です。ランドクルーザーは盗難全体の27.5%を占め、4台に1台以上が盗まれています。車種別盗難ランキングの順位は以下の通りです。

■車名別盗難台数(警察庁発表)
1:ランドクルーザー:765台(前年590台/+175台)
2:プリウス:289台(前年287台/+2台)
3:アルファード:191台(前年303台/−112台)
4:レクサス RX:141台(前年80台/+61台)
5:レクサス LX:120台(前年112台/+8台)
6:クラウン:107台(前年44台/+63台)
7:ハイエース:97台(前年60台/+37台)
8:レクサス LS:55台(前年44台/+11台)
9:ハリアー:50台(前年17台/+33台)
5:キャリイ:43台(前年44台/−1台)
※出典:警察庁

最新の盗難手口と事例

 では自動車盗難の手口はどんなものがあるのでしょうか? 

■リレーアタック

スマートキーから出る微弱な電波を使ったリレーアタックは、微弱な電波を遮る金属の缶や遮断ポーチなどで防止できることが広まったため、自動車盗難の手口はスマートキーのIDコードを読み取ってスマートキーそのものを複製してしまうコードグラバーやCANインベーダーに移行(katsu@Adobe Stock)
スマートキーから出る微弱な電波を使ったリレーアタックは、微弱な電波を遮る金属の缶や遮断ポーチなどで防止できることが広まったため、自動車盗難の手口はスマートキーのIDコードを読み取ってスマートキーそのものを複製してしまうコードグラバーやCANインベーダーに移行(katsu@Adobe Stock)

 スマートキーの微弱電波を中継して、家屋内にあるキーをクルマの近くにあると誤認させ、遠隔でドア解錠、始動させる手口。複数人による電波中継が特徴です。

■コードグラバー

スマートキー内のIDコードを盗み出すコードグラバー(dusanpetkovic1@Adobe Stock)
スマートキー内のIDコードを盗み出すコードグラバー(dusanpetkovic1@Adobe Stock)

 暗号化されたスマートキーの信号を解析して複製し、遠距離(数百メートル)からでも解錠、始動を可能にする装置。

■CANインベーダー

フロントバンパーを外側から外し、手が届きやすいCAN信号につながる端子に特殊機器(モバイルバッテリーに似ている)を接続し、制御システムに侵入するという手口。たった数分でドアが開錠してしまう
フロントバンパーを外側から外し、手が届きやすいCAN信号につながる端子に特殊機器(モバイルバッテリーに似ている)を接続し、制御システムに侵入するという手口。たった数分でドアが開錠してしまう

 車体のバンパー裏にアクセスし、CAN信号線へ直接接続してコンピュータをハッキング。わずか数分で車両を操作できる高度な技術が悪用されています。

 このCANインベーダーを使った車両盗難に対応したのがトヨタ純正用品の「セキュリティシステム」。このセキュリティシステムを搭載することで、車外から通信ネットワーク(CAN)に不正侵入して流し込まれる信号を遮断し、不正なドアの解錠やエンジンの始動を防ぐというものです。

 わずか3~4分の作業でエンジンもかかり、各種の操作が可能です。2022年11月1日以降に発売された新型車に標準装備され、2023年8月からは後付け品も販売されています。

トヨタ純正セキュリティシステム。オーナーは特別な操作は特に必要ないという
トヨタ純正セキュリティシステム。オーナーは特別な操作は特に必要ないという

 トヨタ純正セキュリティシステムの価格は1万7050円。標準取り付け時間は0.7~1.4h。工賃込みだとプリウスの場合は2万5135円、そのほかは3万3200円(3年6万km保証)となっています(詳細はディーラーに問い合わせてください)。

 その後、助手席側ドアやリアゲートに10cmほどの穴を開けてCANにつなぐ方法から、最近では走行している時に目立つため、リアタイヤハウス内につなぐ方式に変わってきています。

■ゲームボーイ

これが実際に販売されているゲームボーイ型の盗難装置
これが実際に販売されているゲームボーイ型の盗難装置

 CANインベーダーに変わる新たな手口がゲームボーイです。盗難装置が任天堂のゲームボーイに似ていることからそう呼ばれています。クルマと直接交信してキー情報を引き出して純正キーと同様のコードをやり取りするので、車体側はドアロックを解除し、エンジンを始動してしまうのです。

 つまり純正キーが車体からコピーできてしまいます。そもそも、この方法は、スマートキーが故障したり、紛失してしまった場合にキーを複製するために用意されていたものですが、それを悪用されてしまったというわけです。これは秘匿性の高いチャットツール「テレグラム」を使って、ロシアや欧州から輸入されているとのことです。

防犯対策の嘘、ホント

 車両盗難の手口がわかったところで、盗まれないための防犯対策の嘘、ホントを紹介していきましょう。

1:社外セキュリティシステムが最も効果的

パンテーラZシリーズのフルカラータッチパネル液晶アンサーバックリモコン。衝撃(弱・強)を感知するとオーナーのリモコンに即座に通知が来る
パンテーラZシリーズのフルカラータッチパネル液晶アンサーバックリモコン。衝撃(弱・強)を感知するとオーナーのリモコンに即座に通知が来る

 犯人は盗難に時間がかかりそうなクルマは敬遠する傾向にあります。やはり社外品のセキュリティシステムであるパンテーラやクリフォード、ゴルゴ、イグラ、などの防盗効果の高い社外セキュリティであれば車両盗難は防げます。

 こうしたセキュリティシステムは、ドアロック、イグニッション、ボンネット、トランクの開閉を監視するのをはじめ、衝撃、傾斜、電圧低下などを検知。オプションで、車上荒らしや部品盗難にも対応可能です。ただし、30万~40万円と高額です。

 約11万円からという比較的安価なユピテル製のアルゴスD1はエンジンを始動させないことに特化したセキュリティ商品です。車両純正スマートキーとは別のリモコンがあり、純正キーだけではエンジンがかからない仕組みとなっています。

 またデータシステムから車両盗難防止装置「カースティールブロッカーSOS820」が2万2000円という本体価格+車種別ハーネス(4400円)で販売されています。

 このカースティールブロッカーSOS820は、純正キーと別にエンジンスタート機能を設けており、室内に設置した付属のコントロールスイッチのセキュリティパスコード(1~9999まで設定できる)によって車両盗難を防ぐ仕組み。

 つまり、ドア開閉機能とエンジンキー機能の2つのキーが用意される社外品のセキュリティシステムが、自動車盗難最大の防御策といえるでしょう。またしっかりとした取り付けるショップ選びも重要です。

異常の発生は1.8インチのリモコンにこのようなフルカラーアニメーション表示で瞬時に通報。警報中に危険度の高い異常が発生した場合は逐一更新されるので愛車の状況が手に取るようにわかるという(パンテーラZシリーズ)。出典:ユピテル
異常の発生は1.8インチのリモコンにこのようなフルカラーアニメーション表示で瞬時に通報。警報中に危険度の高い異常が発生した場合は逐一更新されるので愛車の状況が手に取るようにわかるという(パンテーラZシリーズ)。出典:ユピテル


2:ハンドルロックや物理ロックは時間稼ぎにしかならないと肝に銘じる

ハンドルロック、ホイールロックも完全な防犯にはならない(Mickis Fotowelt@Adobe Stock)
ハンドルロック、ホイールロックも完全な防犯にはならない(Mickis Fotowelt@Adobe Stock)

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