酷暑と渋滞でエンジンは疲弊している
真夏の炎天下、渋滞でのストップアンドゴーやアイドリング時間が長くなることで、エンジン内部の熱ストレスは想像以上です。
この状態が続くと、エンジンオイルは酸化し粘度が変化、潤滑性能が低下する恐れがあります。結果として、エンジンの金属部品が摩耗したり、異音やオイル漏れの原因になる可能性も。つまり、夏場はエンジンオイルにとって「試練の季節」なのです。
最新車だからエンジンオイルを1年交換しなくてもいい、とタカをくくっていないだろうか。たしかに、エンジンオイル交換時期は、通常の場合、1年または1万5000kmの早いほうと推奨されています。
しかし、30度以上の真夏日、35度以上の酷暑日に走行した場合は、専門用語でシビアコンディションと呼ばれ、いわば想定外に近い状況。クルマだって悲鳴を上げているのです。
もちろん暑さだけでなく、エンジンの負荷の大きい上り坂の走行が多い、雪道での走行が多い、8km以下を基準とした近距離の使用が多い、30km/h以下の低速走行が多い、アイドリングが多い、といった走行状況がシビアコンディションと呼ばれています。
特に酷暑日に渋滞やストップ&ゴーの多い街中での走行の場合、エンジン内部で水蒸気が起き、その水蒸気は油温が上がらないと蒸発せずにエンジン内部に残るため、エンジンオイルの劣化を早めることになります。
こうしたシビアコンディションの場合、エンジンオイルの交換サイクルは、通常が1年または1万kmの場合、半年または5000kmとなります。つまり、通常の半分の期間、走行距離で交換必須となるのです。
新車から2回目の車検を迎えたクルマも、シビアコンディションで走り続けた場合、「まだまだ大丈夫」といえなくなってきています。3000kmごとのエンジンオイル交換とはいいませんが、例えば30km以上の酷暑日の大渋滞や最近、ストップ&ゴーの激しい街中しか走っていないと感じたら、エンジンオイル交換と高速走行のフォローをしたほうがいいでしょう。
オーバーヒートによるエンジントラブル
オーバーヒートは、エンジンから発生する熱量が、冷却性能を上回った場合に起きるエンジントラブルの一種。最近のクルマにはほぼ起きないが、新車から10年以上のクルマは要警戒。冷却水不足やエンジンオイル不足、ウォーターポンプ、冷却用ファン、サーモスタットなどの作動不良などが要因です。
もしメーターパネルの水温の警告灯がついた場合は速やかに救援を呼び、整備工場でオーバーヒートの原因を調べた方がいいでしょう。そのまま走り続けた場合、エンジンが焼き付く可能性があり、非常に危険。状況にもよりますが、まずはヒーターを全開にするなど、水温を下げる措置も有効です。ただし緊急時の対応(応急処置)となります。
オーバーヒートの前兆としては、メーターパネル内に設置されている水温計が「H」付近を示すようになることです。水温計には「C(COOL)」と「H(HOT)」の表記があり、CとHのちょうど真ん中付近に針があれば、冷却水が適正な温度であることを表しています。しかし、オーバーヒートが起こると針が「H」に近付いていきます。
オーバーヒートは原因となる箇所が多いため、トラブル箇所の特定はプロの判断に任せた方が賢明ですが、エアコンに連動する冷却ファンの作動音や、リザーバータンクの冷却水の量は専門知識や工具がなくても確認できるため、日常的に気にかけておきましょう。
冷却水(ロングライフクーラント:LLC)は、エンジン温度を適正に保つための重要な液体です。昔、真夏といえば、ボンネットから「ぷしゅー」と水しぶきを上げているクルマをよくみかけました。
LLCを長らく交換していないと汚れがたまり、またサーモスタット故障により、ファンが回らなくなり、ラジエターに穴が開いたりしてしまうことがありました。
最近の車両は「スーパーロングライフタイプ」で10年無交換も謳われますが、実際には外気温や走行状況、冷却系統の劣化によって性能が低下することもあります。タンクの容量が減っていたり、異臭、LLCが茶色や白濁していたら交換をおススメします。



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