もうそろお別れなんて寂しすぎる！　トヨタ カローラ フィールダーはやっぱ良いクルマだったのよ

　トヨタ カローラシリーズのステーションワゴン言えば、今はカローラツーリングだ。しかしながら、カローラのワゴンと言えばフィールダーを忘れてはならない。2025年10月で生産終了となるフィールダーの魅力を、余すところなくお伝えしていく。

文：佐々木　亘／画像：ベストカーWeb編集部

カローラの再出発とともにスタートしたフィールダーの歴史

　初代カローラフィールダーが登場したのは、2000年8月のこと。21世紀に向けたクルマづくりを模索し生まれ変わったカローラのワゴンは、フィールダーという新しい名前を授かり世に出ていった。

　初代フィールダーのコンセプトは、「従来のコンパクトステーションワゴンクラスの概念を打ち破るパッケージング・スタイル・品質」、「誰もが味わえる質の高い走り」、「新世紀が求める環境性能と安全性能」の3つだ。

　これらを実現するべく、先代のカローラワゴンではカローラバンのプラットフォームだったが、フィールダーではカローラセダンのプラットフォームを使っている。エンジンやミッション、サスペンションなどに至るまで、主要コンポーネントを一新し、乗用車として作り上げられた。

　初代フィールダーは、カローラシリーズを愛用していた50代のユーザーだけでなく、アクティブな20～30代の若者層にも支持が広がり、瞬く間の大ヒットとなる。現在のカローラツーリングへとつながる、スポーティカジュアル路線は、ここからスタートした。

世界初のリアシートでさらに快適になったフィールダー

　2006年にはカローラフィールダーとして始めてのフルモデルチェンジを迎える。2代目となったフィールダーはより若々しくなり、若年層ユーザーをターゲットにした大幅な改変が行われた。

　ボディ全長と全幅は先代と同値だが、全高は10mm低くしスタイリッシュなプロポーションへと進化。室内高が25mm低くなり居住性が犠牲になるかと思いきや、室内長を40mm、室内幅を10mm拡大して、シートの最適化で着座位置を低くすることによって、先代以上の居住性を確保している。

　また、2代目カローラフィールダーには世界初のワンタッチ格納リアシートが採用された。これは、ラゲージルームの側面に取り付けられたレバーを引くと、リアシートの座面が跳ね上がって、背もたれが前に倒れるダブルフォールディング機構が働くというもの。

　バックドアから荷室をフルフラットにできるこの機構は、フィールダーをアクティブに使う上で、超便利な機能であった。

　2代目フィールダーは、ハイブリッドカーやコンパクトカー全盛の時代でも、しっかりと売れ続けた国民的ステーションワゴンなのである。フィールダーというクルマにおいては、2代目モデルが一つの完成形とも言えるだろう。

海外向けとは袂を分けた日本のカローラフィールダー

　2012年には3代目へとスイッチしたフィールダー。プラットフォームはヴィッツ系のものとなり、ワイドボディ化していく海外向けカローラやカローラツーリングとは違う、独自の小型ステーションワゴンとして進化している。

　法人ユース用というイメージもあるが、個人で使っても十二分に楽しめるクルマだ。ボディサイズはフロントオーバーハングを切り詰めて先代よりも60mm短くなったが、室内は座席間距離を15mm拡大し、荷室長は410mm拡大している。広さは犠牲にせず、取り回しが良くなった。最小回転半径は4.9ｍという小ささだ。

　エンジンこそ先代で人気のあった1.8Lが消えて、1.5Lのみとなっているが、HEVが追加されJC08モード燃費は22.0km/Lを達成。収納たっぷりで荷室は大きく低燃費と、遊びのお供にするには最高のクルマだ。

　カローラツーリングはもちろん良いクルマなのだが、手足のように使えるフィールダーの大きさは捨てがたい。こんなに良いクルマが今年の10月で生産終了になるのは悲しすぎる。

　5ナンバーステーションワゴンの火を絶やさぬよう、次世代につながるフェードアウトであってほしい。フィールダーはこのままで終わりではないですよね、トヨタさん。