環境への配慮などからエンジンのダウンサイジングが主流となっているが、マルチシリンダーの大排気量エンジンに抗いがたい魅力があるのも事実。レクサス LC500に追加された「ピナクルエディション」に搭載されるのもそんなエンジンだ!!
※本稿は2025年7月のものです
文:渡辺敏史/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2025年8月26日号
「頂点」の名を冠した限定車。その走りはまさに「官能」の極み
2008年のIS F以降、レクサスのための高性能ユニットとしてRCやGS、LCなどに搭載されてきたエンジンといえば2UR-GSE型だ。
今や燃費やエミッション等の規制問題から各社でマルチシリンダーエンジンの生産が終了し、絶滅危惧種となっているなか、この自然吸気の5L・V8は、レクサスのスポーツ銘柄を象徴する存在とも受け止められてきた。
が、騒音やセキュリティといった規制課題が山積するなか、いよいよこの希少な内燃機も終了が近づきつつあるという気配は、直近の動向からも察せられる。
そんななか、レクサスのフラッグシップであるLCのマイナーチェンジとともに、限定車「ピナクルエディション」が新たに設定された。ちなみにピナクルは「頂点」の意。やはり5L・V8の終焉は近そうである。
ピナクルエディションは2UR-GSE型を積むLC500のクーペとコンバーチブルをもとに、専用設定の内外装色やメッキ加飾、スカッフプレートやオーナメントなどで彩られる。
さらにRC Fの限定車と同様、摺動部品の重量合わせ込みを施したエンジンや手組みでバックラッシュ調整を施したLSDの搭載など、パワー&ドライブトレーンの高精度化も加えられた。
カナード&カーボンウイングといった空力部品の付加はコンバーチブルでは初となり、ウイングは屋根の開閉動線の関係もあって専用形状となっている。
クーペは運動性能をさらに高めるべく、中空アルミのリアサスメンバーや後輪操舵も搭載、足回りも特性を見ながら再設定しているというが、走り始めからの印象にスーパースポーツ的な動きの性急さはまったく感じられない。
1000rpm台で流すようなタウンライドでも足はよく動き、バネ下やフロアの低級振もきれいに取り除かれている。これがコンバーチブルになると50km/h程度でしずしずと走らせても気持ちがいいほど、高い柔軟性も備わっている。
と、そういう乗り方をしている時は黒子に徹する2UR-GSE型も、いざ踏み込めば7000rpmオーバーまでパワーの盛り上がりを感じさせつつクォーンと澄んだ快音を響かせてくれる。速さでは今どきのターボものには及ばないが、回すほどに五感を刺激する特性は、やはり自然吸気の強みと言えるだろう。
LCは日本車が苦手としてきた、数値化できない官能性においても、いよいよ頂に立ちつつあるようだ。
2UR-GSEエンジンに高精度チューンを実施
ピナクルの5L、V8「2UR-GSE」エンジンには、各部品のわずかな個体差に合わせた寸法精度の作りこみや手作業による最終調整が施された。これにより伸び感ある滑らかな回転フィールや加減速時の応答性向上などを実現した。
●レクサス LC500 PINNACLE 特別装備
○クーペ・コンバーチブル共通
・専用CFRPリアウイング(固定式)
・専用一体成型フロントバンパーカナード
・高精度チューニングエンジン
・特別組付けLSD
・専用スカッフプレート
・専用プレート(センターコンソール)
・専用グラデーション刺繍(助手席インパネ)
・専用塗装21インチ鍛造アルミホイール
○クーペ
・専用ボディカラー:朧銀
・専用内装色:ブラック&ホワイト
・専用リアアルミ中空サスペンションメンバー
・専用チューニング
○コンバーチブル
・専用ボディカラー:ニュートリノグレー
・専用内装色:サドルタン&ホワイト
・専用ルーフカラー:ブラウンシルバー
・専用チューニング























コメント
コメントの使い方手作業特別組付けのエンジンにLSDって、レーシングカーでもないのに贅沢すぎるでしょ・・・。
ほぼ9割がGTカーとして使うので必要ないとは思いつつ、車好きとしてはロマンを感じてしまう。