デザイン的な流行や空力性能の問題から、最近のクルマにはカドが少ない。カクカクした四角いクルマがほとんどないのだ。子供たちが描くクルマの絵も、角張ったクルマではなく丸いクルマが増えている。四角いクルマはめっきり見なくなってしまった。最近減っている、絶滅危惧種のカッコカワイイ四角いクルマを紹介していきたい。
文:佐々木 亘/画像:スズキ、トヨタ、日産、ダイハツ、ホンダ、ベストカーWeb編集部ほか
最近の四角いクルマってジムニーくらいじゃない?
昭和から平成初期のクルマは、まさしく箱を組み合わせたような「箱型」が多かった。ボディの角はエッジが立っており、ヘッドランプ形状も四角いクルマが多かったから、クルマのどこを見まわしても四角一辺倒だったのだ。
しかし次第にボディのプレス技術などが進化して、クルマのボディデザインに曲面を作り出すことが増えていった。それと同時に、箱と箱の組み合わせで出来るセダンタイプのクルマではなく、SUVやボンネットタイプのミニバンなど、クルマのボディ形状も様々なタイプが人気になっていく。
そして、衝突安全性能や空力性能なども加味した結果、エッジの効いたボディデザインよりも、丸みを帯びた優しい形のクルマの方が増えていった。現行の国産車はほとんどが、丸いクルマ。「四角いなぁ」と感じるのは、スズキのジムニーシリーズやランドクルーザー70のような、本格ヘビーデューティーモデルに限られる。
四角いクルマは威圧感がある
昭和後期から平成に差し掛かる頃が、四角いクルマの最盛期とも言えるだろう。当時、四角さで定評があったのがクラウン。特に、クラウンシリーズで最もスクエアなデザインを採用していたのは、鬼クラとも言われていた6代目だ。
スピンドルシェイプが不評だった4代目のイメージを払拭するかのように、5代目よりもさらに直線基調を強調したボディデザイン。グリルは縦基調で四角く、ヘッドランプも四角いものだから、クルマの顔はほとんど四角で構成されている。
サイドビューでも丸いのはフェンダーアーチくらいで、ドアもドアハンドルもウィンドウの隅々に至るまで、しっかりと角のある四角い造形だ。ハードトップモデルが多く、Bピラーが隠れるようなデザインやサッシュレスが多かった当時は、四角いデザインが非常に映えた。
SUVやミニバンが主流ではなく、現在もセダンがクルマの本流だったら、もう少しカクカクしたデザインのクルマが増えていたのかもしれない。
カドがあってもかわいいクルマも多いのよ
「角が立つ」とは、物事が円満さを欠きトゲトゲしい様子を指すが、自動車のデザインでは角を立てても、優しく可愛らしいクルマも多い。
その筆頭格が、2008年に登場したダイハツ ムーヴコンテだ。「カクカクシカジカ、四角いムーヴ」というCMからもわかる通り、丸みを帯びたムーヴとは対照的な四角い軽自動車だった。
角のあるムーヴコンテだが、各所に丸を取り入れることで可愛らしさもあるクルマになっている。ヘッドランプ全体は四角なのだが、中には丸がデザインされていたり、フォグランプも丸くなっていたりして、四角と丸が見事に調和していた。


























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