1960年代に登場した「GT1300ジュニア」に由来する車名と、スポーツカー「ジュリア・スプリントGT」のデザインを受け継いだ、アルファロメオ ジュニアが上陸。大きすぎず小さすぎずの絶妙なサイズ、精悍な印象も醸し出すコンパクトSUVだ!!
※本稿は2025年7月のものです
文:清水草一/写真:池之平昌信、ステランティス ほか
初出:『ベストカー』2025年8月26日号
新世代のアルファロメオファンを開拓する先駆

現在、イタリアの大衆車ラインナップは、もの凄く厳しい。フィアットは500の生産が終了して在庫のみ。アルファロメオはジュリエッタが終売。残ったのは個性に欠けるSUVや高価格車で、ファンからすると「イタ車ってのはこうじゃないだろ」だ。
そんななか登場したのがジュニアだ。
セダンのジュリアと間違えそうな名前だけど、ジュニアはコンパクトSUV。「またSUVか」と思いきや、全高は低めで、コンパクトハッチをSUV風に仕立てた感覚だ。サイズはヤリスクロスくらいで手頃。156や147に乗っていたアルファファンも、「これならいいかな」と思えそうな、引き締まった精悍さがある。
鼻ペチャな盾型グリルは、かつての名車・アルファ75やスッドの面影があるし、リアはこれまたアルファ伝統のコーダトロンカ(スパッと切り落としたテール)。古典をモダンに継承しているところがいい。
今回試乗したのは、初回限定200台のマイルドハイブリッドモデル「イブリダ スペチアーレ」(533万円)。エントリーグレードの「イブリダ コア」なら420万円なので、頑張って買えない値段じゃないのがうれしい。
パワーユニットは1.2L直列3気筒ターボ+マイルドハイブリッドだ。イタ車ファンとしては、大事なのはまずエンジン。この1.2Lターボ、パワー(136ps)はそこそこだけど、回転フィールはなかなか痛快。昔みたいな「アルファサウンド」には程遠いが、パンパンと元気に回る感覚がイタリアっぽい。
アルファファンは、それほどパワーは求めてない。それより大事なのはハートだ。このエンジンにはアルファっぽいハートを感じる。逆にハイブリッドなんて、どうでもいいという気持ちもあるが、走り出しはモーターだけでも可能だし、低速トルクを補ってくれるのは〇。縁の下で頑張っている。
足回りは決してスポーティすぎず、ストロークがたっぷりで快適だ。それなりにロールもするけど、反応は適度にビビット。久しぶりにイタ車ファンの心に刺さるニューモデルだぜ!
●アルファロメオ ジュニア(スペチアーレ)主要諸元
・全長×全幅×全高:4195×1780×1585mm
・ホイールベース:2560mm
・車両重量:1340kg
・パワーユニット:直3 DOHC ターボ+モーター
・エンジン最高出力:100ps/5500rpm
・エンジン最大トルク:23.5kgm/1750rpm
・モーター:21.8ps/5.2kgm
・トランスミッション:6速DCT
・WLTCモード燃費:23.0km/L

















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