もうすぐ8月が終わろうとしていますが、まだまだ暑さは続きそうです。愛車のほうは、真夏の炎天下で酷使され、人間が気付かないだけで実はかなりのお疲れモードです。暑さがこれだけ続くと、これから迎える季節の変わりの前に愛車のメンテナンスを行う必要があります。メンテナンスをさぼりがちなアナタ、あとで泣きをみないようにしっかり行いましょう。
文/ベストカーWeb編集部/写真/Adobe Stock(トビラ写真:jozefklopacka@Adobe Stock)
エンジンオイル:夏場の劣化は早いので黒く汚れていたら交換したほうがよい
何もせずとも汗が流れ落ちてくる真夏の炎天下、ただ立っているだけでも体力を消耗し、家に帰るとドッと疲れが押し寄せてきます。
そんな真夏の暑さ、クルマにとっても辛く、熱に関連するトラブルのリスクが格段に高まり、主要メカの消耗もより早く進行します。走っていればエンジンルームにも風が入るからまだよいものの、渋滞に巻き込まれて止ってしまうと途端に灼熱地獄となるからです。
このため、夏の終わりにはクルマにも確実に疲れが溜まっています。夏が終わって秋が過ぎると、寒さ厳しい冬が待ち受けています。無用なトラブルで悩まされる前に、疲れた愛車のリフレッシュ(点検・整備)を実施しましょう。
外気温の高い夏場はエンジンの発熱量が高くなり、渋滞のノロノロ運転といった状況下では劣化もより進行します。このため、普段使いでは走らない長距離を走行したり、長時間の渋滞に巻き込まれる可能性があるときは、出かけるときは最低限、オイル量のチェックくらいはするべきで、もしもオイル交換を怠っていたなら出発前に交換がベストです。
量が少なかったり劣化したオイルでは満足な潤滑が行えないため、エンジンの回りが重くなったりアイドリングが不安定になることがあります。また、エンジンオイルには「冷却」や「洗浄」といった働きもあるため、オーバーヒートの要因にもなるからです。
そして、夏の終わりには「お疲れさま」という気持ちを込めて、オイル量や劣化のチェックを行いましょう。これが何よりも大切で、お出掛け前のメンテを怠っていたなら、特に重要となります。忘れずに実施しましょう。
そのエンジンオイルの点検、エンジンの側面に挿入されている「オイルレベルゲージ」を引き抜くだけで簡単に行えます。まずはボンネットを開け、どこにセットされているか確認しましょう。頭部に黄色い指かけが付いているのですぐにわかるはずですが、初めてならオーナーズマニュアルで確認を!
さて、レベルゲージを引き抜いたなら、先端に付着しているオイルをウエスできれいに拭き取っていったん元に戻す。そして、再び引き抜いたときゲージ先端に付着したオイルで判定します。
ゲージ先端には上下2本の線溝があり上が「Hiレベル」、下が「Lowレベル」を意味していて、このHとLの間にオイルが付着してればオイル量はOK! Lレベル近辺まで減少していたときはHレベルまで補充しておきたい。
また、劣化の判定。これは素人が目視したところで正確な判断など下せません。エンジンオイルには洗浄効果もあり、交換直後なのに汚れを取り込んで真っ黒ということも珍しくないからです。
このため、あくまで目安となりますが、レベルゲージに付着したオイルをきれいなウエスに1滴たらして、汚れの広がり方を確認しましょう。中心に汚れが凝縮され、その周囲に透明感のあるオイルが広がるようならまだ大丈夫。全体に真っ黒なオイルが広がるようなら劣化している可能性大です。
冷却水:酷暑でお疲れモード、減りはないか、劣化や漏れがないかチェック!
性能向上が著しい近年のクルマはオーバーヒートを起こしにくくなっており、統計的にも減ってきています。また、8年間交換不要という超・長寿命なスーパーLLCの普及によって冷却水もメンテナンスフリー化しつつあります。
とはいえ、乗りっぱなしで、必要最低限の日常メンテすら怠っていたとしたら、この限りではありません。特に夏場は注意が必要だ。冷却水温が上がりやすいため蒸発量が増え、正常な状態でも冷却水が減る可能性が高まるからです。
また、冷却水の循環経路には様々な補器類が配置されており、それらが全て正常に機能して初めて適温に保たれるわけで、メンテを怠ると各部の劣化を早めることにもなります。
そんな夏場に植え付けられてしまったトラブルの種が、秋から冬にかけて芽生えるのを防ぐため、夏の終わりには冷却水の管理をキッチリ行っておきましょう。
さて、冷却水の点検はラジエターキャップの基部に接続されたオーバーフローパイプを辿っていた先にある「リザーバータンク」で目視で行ええます。タンク側面には上限と下限を示すラインが表示されていますので、その間に液面があればOK。
ただし、水温に応じて液面が変化するため、点検はエンジンが冷えているときに行うのが原則で、補充するときは市販の「LLC補充液」を利用する必要があるので注意しましょう。
また、点検時は劣化や水漏れの有無にも気を配る必要があります。LLCはワインのような透明な赤もしくは青や緑色で、もしもサビ色に変色していたら劣化している証拠で要交換。
そして、「チェックするたびに補充が必要」な状態だったら水漏れの疑いがあります。冷却ホースやその接続部、ラジエター、エンジン回りに冷却水が漏れた跡(白い筋が残る)が、駐車場のエンジン下回り位置に水貯まりないかチェックし、疑わしい痕跡を発見したら、ただちにプロに点検を依頼しましょう。
バッテリー:頻発するトラブル常連、どうしたらいい?
真夏の炎天下、外気の温度が35℃の猛暑日はエンジンルーム内に置かれたバッテリー液(電解液)の液温は50℃にまで達します。このため、夏場は充・放電に伴う化学反応が必要以上に活発になり、自己放電や劣化が進みやすくなります。
車載されているDC12Vを発生する「鉛バッテリー」は、電解液と極板の間に起こる科学反応によって電気を貯めたり放出する働きをしているからです。
さらに、渋滞路でのアイドリング時には発電量が消費電力を補いきれず、放電する一方の状態になりやすく、最悪、走行中にバッテリー上がりを起こすこともあります。
近年、この手のトラブルが増えています。エンジンルームに様々なメカがビッシリ詰め込まれている近年のクルマは熱が抜けにくく、電子制御にパワーアシストと電気負荷も増す一方です。
そんなわけで、バッテリー上がりを起こすことなく真夏の炎天下を乗り切れたとしても安心は禁物!
ダメージは確実に蓄積されており、爆弾を抱えている可能性もあるので、気温が下がって化学反応が鈍くなり性能が低下する冬に突入する前に、バッテリーのコンディションをチェックしておきましょう。
なお、近年主流のMFバッテリーのケース上面には、コンディションを目視確認できるインジケーターが設置されている。まず、このインジケーターを確認。もしも「良好」以外だったらプロに点検を依頼しましょう。
次にターミナルをチェック。接触不良があると電気の流れが悪くなり、緩んだだけでセルが回らなくなることがあるので注意。
緩みや腐食(白い粉が付着する)のチェックも大切で、多少でも緩んでいたならボルトを増し締め。もしも腐食してたら、取り外して磨いてからグリスを塗布しておきましょう。
タイヤ:バッテリーに次いでトラブルの多いタイヤのパンク、空気圧不足も見逃すな!

空気は暖まると膨張する性質があるため、空気圧は外気温によっても変化。気温が上がれば上昇し、下がれば低下するため、気温の高い夏場には適正値だったとしても、そのままの状態で気温の下がる冬に突入してしまうと適正値を下回ることに。
また、ゴムには空気を通す性質もあるため、正常な状態だったとしても空気圧は自然に目減りしていきます。
タイヤは空気を充填することで形状を維持しているため、空気圧が足りないと変形してしまい、操縦安定性に悪影響が現われる。このため、空気圧チェックは、季節の変わり目の重要なメンテナンスの1つにあげられます。くれぐれも注意したい。
ただし、空気圧の測定は走行前の冷えている時に行うのが原則。また、一般に普及しているチューブレスタイヤはパンクしても急激に空気が抜けない半面、じわじわ抜ける傾向にあるためパンクに気付きにくく、スローパンクチャーで高速でスピンして大破などといった事故が増えています。
測定時、もしも1本だけ極端に空気圧が低かったら要注意! 規定値に充填して数日後に再度、確認し、同様に1本だけ低くなるようならプロに点検を依頼しましょう。
ブレーキ:放ったらかしにしていませんか? 後悔しないブレーキメンテナンス
ブレーキは摩擦を利用して速度エネルギーを熱エネルギーに変え、その熱を空気中に放出することで減速を行っています。このため、峠道の長い下り坂などでブレーキを使い過ぎて熱を発散しきれない状況に陥ると効きが悪化。
そのまま走り続けるとブレーキフルードが沸騰して「フワフワ」した踏みごたえとなる「ベーパーロック」を引き起こします。
冷せば効きは回復するものの一度でもベーパーロックを起こしたブレーキフルードは確実に劣化してしまうため、後日交換する必要があるので注意! 普段より走行距離が伸びる夏のレジャーではブレーキを酷使しがち。心当たりがあったなら、ブレーキフルードの点検も忘れずに行いたいです。
さて、エンジンルームの運転席の前方付近に鍋を逆さにしたようなパーツがあります。「マスターバック(倍力装置)」と呼ばれるパーツで、その先端に取り付けられているマスターシリンダー上のリザーバータンクにブレーキフルードは注入されています。
タンク側面には液量を示すラインが2本表示されています。上限のMAXラインと下限のMINレベルの2つで、この間に液面があれば液量はOKです。
ただし、規定量入っていたとしても茶色く濁っていたり(新品のときは透明)、不純物が浮揚していたら要注意! ブレーキフルードが劣化している可能性が高いので、なるべく早く交換したいところです。
また、ブレーキフルードの液面はブレーキパッドの摩耗量に応じて下がっていきます。このため、定期的にチェックすることで減り具合の推測が可能で、半分以下まで下がっていたらパッド残量の半分をきった可能性があります。ただちにブレーキパッドの残量を確認しましょう。










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