2年・3万km無交換って本当に大丈夫? 推奨交換時期を過ぎたらどうなる? エンジンオイル交換の真実とは

推奨の交換時期、距離を過ぎてしまうとどうなる?

エンジンオイルに負担がかかる過酷な使用条件では、推奨交換頻度は増える(写真AC)
エンジンオイルに負担がかかる過酷な使用条件では、推奨交換頻度は増える(写真AC)

 では、メーカー推奨のエンジンオイル交換時期、距離を過ぎるとどうなるのか?

 メーカーの推奨値にはある程度の余裕が持たされており、推奨値以降、劣化の進行状況に応じた様々な徴候は現れるものの、推奨値に達したからといって直ちに問題が起こるということではありません。問題となるのは、その時点からどれくらい経過したかです。

 例えば、ノーメンテで2年間そのままだったとしたら、エンジン内部は堆積したスラッジでま茶色に変色。動きが渋くなるなど正常に機能できなくなっている部位がでてきている可能性が考えられます。

 また、エンジンを正常に回し続けるための必要最低限のオイル量、それがレベルゲージの下限で、このラインを下回ると油面が変動したときにオイルポンプで吸い上げられなくなるなど、オイル循環に支障が出ます。

 つまり、エンジンが焼き付く可能性があるわけで、もしもメーターインジケーターのオイルランプが点灯したら要注意!

 国産車では漏れていない限り極端に減ることはないが、推奨交換サイクルを過ぎた状態で走り続け場合、その限りではありません。オイル量に関しては定期的にチェックすることが重要なポイントとなります。

 それでは、エンジンオイルを交換しないと、具体的にどのような症状が出るのでしょうか?

 エンジンオイルの劣化によって潤滑性能が低下するとエンジン内部の各摺動面の摩擦が大きくなり、異常磨耗が発生。エンジンの回りが重くなって加速や燃費の悪化を招く。オーバーヒートしやすくもなり、最悪のケースではエンジンが焼き付くことも。

 また、エンジンオイルに取り込める汚れには物理的な限界があり、それを超えた汚れはエンジン内部に堆積していくことになります。オイル交換には、そんな「取り込んだ汚れを排出する」という目的もあり、交換を怠るとエンジン内部には確実に汚れが堆積します。

 特に注意したいのが「ほとんど交換せずに、減ったら補給するだけ」という使い方。注ぎ足して乗っていると、排出されずに堆積したスラッジの揮発油分が抜けて真っ黒な粘土状になって堆積。

 コールタールを盛り付けたがごとく盛り上がってくる。事実、過去に粘土状のスラッジでカムシャフトが埋もれていたという事例に遭遇しています。

 オイルパンのストレーナー周囲に山のように堆積したスラッジで、オイルが吸い上げられなくなったという事例も。いずれも、エンジン焼き付きの原因となるのでくれぐれも注意したい。

実体験から見る交換目安

オイル量や汚れ具合は定期的にチェックすることが重要なポイントとなる(写真AC)
オイル量や汚れ具合は定期的にチェックすることが重要なポイントとなる(写真AC)

 筆者自身、年間走行距離が1万km前後の生活で、以前は「1年ごと」に交換していました。しかし夏場の渋滞を経験すると、1年を待たずしてオイルの色が濃く変化。粘度も落ちていたため、半年または5000〜7000km程度での交換が安心だと実感しています。

 また、実際に整備士へ聞いてみると「メーカー指定を鵜呑みにして2年無交換で入庫するクルマは、オイルフィルターが真っ黒に詰まっているケースが多い」との声もありました。現場感覚から見ても、やはり日本の走行環境では“早め早めの交換”が賢明と言えるでしょう。

読者にお薦めしたい“現実的な交換サイクル”

 メーカーが推奨する1年または1万5000kmごと(ガソリン車)のオイル交換は、理論上可能でも、日本の実走環境ではお薦めできません。以下がお薦めするオイル交換サイクルです。

・ガソリン車:半年または5000kmごとの交換
・ハイブリッド車:エンジン稼働時間が短くても、オイルは劣化するため理想は半年または5000kmごとの交換
・ディーゼル車:煤やカーボンが多く発生するため半年または5000kmごとの交換

 オイル交換は「過剰に早すぎても財布に厳しい」が、「遅すぎればエンジン寿命を縮める」行為。費用対効果を考えれば、早め交換の安心感は何ものにも代えがたいと言えるでしょう。

 もちろん前述したシビアコンディションで走行した場合は早めに交換する必要があります。特に35℃以上の猛暑のなか、長距離の大渋滞や低速走行ばかりのストップ&ゴーを繰り返しているクルマは、シビアコンディションに該当するクルマが多いです。

 ガソリンターボ車、特にスポーツカーはメーカー推奨では半年または5000kmごととされている場合が多いですが、走行状況に応じて3000kmまたは3ヵ月で交換する必要も出てくるでしょう。

 エンジンの使用頻度が低いと感じがちなハイブリッド車ですが、実は短距離走行や頻繁なエンジン始動により、意外とエンジンオイルの劣化は早いのです。ハイブリッド車のエンジンオイル交換時期は、1年または1万5000kmごとと推奨されています。

 しかし、ハイブリッド車は、エンジンとモーターの切り替え運転が頻繁で、エンジンが低負荷で長時間作動するシーンが多く見られるため、オイルが冷えたまま使われる時間が長く、劣化スピードが意外と早いのです。特に猛暑時は負荷も高まりやすいため、半年または5000kmごとの交換が理想的です。

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