レクサスが目指す方向と身に付けるべき価値 業績過去最高も課題は山積

■足りない販売店と公平性 高級車ブランドであるためには見直すべき

 レクサスは店舗展開にも疑問がある。先に述べた通り全国に約170店舗で、トヨタの販売網に比べると3~4%だ。しかもメルセデスベンツなどの輸入車に対抗しているから、出店が都市部に著しく偏っている。東京都内では28店舗を展開しているのに、青森県、秋田県、福井県、鳥取県などは1県に1店舗だけだ。

 そして輸入車の場合、地域によっては複数ブランドの正規販売会社から車両を卸して販売するサブディーラーが普及するが、レクサスは基本的に正規販売店でないと扱わない。一部の店舗では、運営母体となるトヨタ店やトヨペット店が簡単なメンテナンスを行って便宜を図るケースもあるが、あくまでも例外だ。

 日本では前述のようにトヨタが主力ブランドで、サービスも入念だから、ユーザーはレクサスもトヨタに属すると認識している。トヨタ車を近所の店舗で買えるなら、レクサスも同様でなくてはならない。1県に1店舗では、顧客は不便を感じて顧客満足度も下げてしまう。「どこに住んでいても、購入とサービスを公平に受けられ、安全かつ便利に使える」という、トヨタ車の価値を身に付けない限り、レクサスが日本に深く浸透することはない。

 公平性に関しては非常に些細な話だが、レクサスオーナーズラウンジの利用に妙なルールがある。メンテナンスの待ち時間などを過ごす顧客専用のラウンジだが、入室を許されるのは、レクサスの店舗で新車か認定中古車を購入したユーザーだけだ。一般の中古車店でレクサスを買ったユーザーは、レクサスオーナーズラウンジに入れない。

レクサスショールームの商談スペースはモニターを見ながら営業マンから説明を受ける。レクサスオーナーズラウンジに入るには、新車や認定中古車を購入したオーナーだけに渡させるレクサスオーナーズカードが必要になる

 理由を尋ねると「レクサスの店舗で購入したお客様の満足感を守るため」と返答されたが、入室を断わられたユーザーは、「自分はレクサスのオーナーではないのか?」と差別を感じてしまう。この方針は全国一律だから、メーカーの主導に基づく。

 要はレクサスの「おもてなし」は、このレベルだ。海外と日本では、トヨタとレクサスを取り巻く事情やユーザーの感情はまったく違うから、個別に考える必要がある。「日本のレクサスはどうあるべきか」を顧客目線で考えると、新しいサービス、新しい顧客との結び付きが生まれる可能性もある。

 特に2020年5月からは、トヨタの全店が全車を扱う体制に移行する。トヨタ店とトヨタカローラ店が隣接するような地域では、店舗の統廃合も進みそうだ。レクサスの店舗展開を見直すいい機会にもなるだろう。「日本のレクサス」に期待したい。

【画像ギャラリー】課題はあれどデザイン、販売ともに向上中のレクサス。その現行モデルを一挙紹介!!

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