いつも通りは誉め言葉!? フォレスターに見たことない場所に連れて行って欲しい

いつも通りは誉め言葉!? フォレスターに見たことない場所に連れて行って欲しい

 2025年4月に登場した新型スバル フォレスター。評論家のみなさんの評価も上々で、テリーさんも試乗を楽しみにしていたであろうと思いきや……「いつものフォレスターだね」。テリーさん!! いつものフォレスターではイカンですか!?(泣)

※本稿は2025年8月のものです
文:テリー伊藤/写真:西尾タクト、スバル、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年9月10日号

【画像ギャラリー】プーさんを乗せて森の人気者を目指せ!? スバルらしい走りのよさを備えるスバル フォレスター(16枚)画像ギャラリー

「いつものフォレスター」は安心か退屈か

今回テリーさんに試乗していただいたのは、2025年4月登場のスバル フォレスター
今回テリーさんに試乗していただいたのは、2025年4月登場のスバル フォレスター

 今回の試乗車は新型フォレスターである。先日フルモデルチェンジしたばかりの新しいクルマだが、これが6代目になると聞いて驚いた。意外と歴史が長い。

 初代は1997年登場だから2025年で28年目。移り変わりの激しい世の中で、立派な長寿モデルだ。しかし、この6代目にあまり新鮮味を感じなかったのも事実。新型車というより、何か「伝統芸」のようなものを見ている気持ちになった。

 フォレスターをオシャレなクルマと認識している人は少ないだろう。逆に「武骨」なところが魅力のクルマで、それはそれでアリなのだが、この6代目も「いつもと同じだな」と思ってしまうのだ。

 確かに、顔つきは今までよりもシャープになったが、全体のフォルムはほとんど同じ。もちろん、いいものを作ろうというスバルの気概は伝わってくるが、ずっと同じ場所で、同じような考え方でクルマを作っているように思えてしまう。

 いやテリー、新型フォレスターは歴代初のストロングハイブリッドを搭載したんだぞという声が聞こえてきそうだが、大事なのはパワーユニットよりも基本コンセプトとデザインだろう。

 多くの人は「見た瞬間の気持ち」で、そのクルマが好きか嫌いか、欲しいか否かを判断する。雑誌などで深く研究する人もいるだろうが、それにしても第一印象はかなり重要。

 ほとんどの人は、この新型を見た瞬間「いつものフォレスターだな」と感じるのではないだろうか。もちろん、それが安心感に繋がっている面はあるし、スバルの狙いもそこにあるのかもしれない。しかし6世代、28年である。あまりにも同じ場所に居続けているのはどうなんだろうかと思う。

 もしかしたら、今のスバルに必要なのはドナルド・トランプやイーロン・マスクのような乱暴者なのかもしれない。デザイン案を見た瞬間に「いつもと同じじゃないか!」と怒り出すような人たちだ。

 いや、別に暴れなくても冷静な話し方でもいいのだが、「安定をよしとしない勢力」も必要なのではないかということである。

 私が興味あるのは、存在していたであろう新型フォレスターの「プランB」や「プランC」。結局はボツになったアイデアのなかに、何か新しい発想があったのではないか、それを見たかったなと思うのだ。

森の人気者を目指してほしい!

視界がよく、運転しやすく疲れない。フォレスターはスバルの走りのよさをすべて備えている
視界がよく、運転しやすく疲れない。フォレスターはスバルの走りのよさをすべて備えている

 わかっていたことだが、走りは最高である。今回の試乗車は話題のハイブリッド車ではなくベーシックなガソリンターボ車だが、驚くほどスムーズな乗り味で、視界もいいし、まったく疲れない。

 スバルの4WDだから当然雪にも悪路にも強いだろうが、それ以上に「長距離ドライブがラクそう」という印象を受けた。私にはガソリンターボ車で充分である。

 実力の高さは誰もが認めるところだろう。武骨をウリにするのも悪くはない。しかし、同じように武骨なSUVでもディフェンダーはオシャレさも兼ね備えている。スバルにだってできるはずなのだ。

 新型フォレスターを開発する時、おそらく競合車の研究を重ねたことと思う。日本車で言えばRAV4、エクストレイル、CX-5あたりだろうか。これらのライバルに対し、どこで勝っていてどこで負けているか、徹底的に研究したはずだ。

 だが、それだといつもと同じ場所なのだ。フォレスター(=森の住人)の名の原点に戻り、目標をライバル車に勝つことではなく、「森の人気者」になることに変えてみるというのはどうだろう。

 くまのプーさんやアルプスの少女ハイジが似合うSUVを目指すのだ。今までと違う、新しいフォレスター像が必ず生まれるだろう。

 そんなことできるわけがないと言うだろうか。であれば、複数のフォレスターを用意するというのはどうだろう。ダイハツ コペンにローブ、セロ、エクスプレイ(現在は終了)があったように、フォレスターも王道とは別の仕様を用意するのだ。それこそプランB、Cの出番である。

 妄想が止まらなくなってしまった。しかし、そこに、誰も足を踏み入れていない新しいマーケットがあるのは確かなのだ。

●スバル フォレスター SPORT EX(419万1000円・CVT)

スバル フォレスター
スバル フォレスター

 2025年4月に登場。SPORT EXは全長4655×全幅1830×全高1730mm、ホイールベース2670mm、車重1660kgでフラット4、1.8Lターボ(177ps/30.6kgm)を搭載。

 歴代初のストロングハイブリッド(2.5L)もあり、WLTCモード燃費は1.8Lターボが13.6km/L、ハイブリッドが18.4km/L。最新のアイサイトXは渋滞時ハンズオフ走行を実現。

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