9月4日、2025年6月5日に発売された新型ムーヴの8月の新車販売台数が明らかになった。ムーヴ初の両側スライドドアが吉と出るか、それともそれほど販売に影響はないのか?
文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、ダイハツ
幸先のよいスタートを切ったが現在の販売状況は?
2025年6月5日、11年ぶりにフルモデルチェンジした新型ムーヴ。両側スライドドアを歴代ムーヴで初採用するとともに、標準車/カスタムという区別はせず、ラインナップを1本化した。
7月6日、発売後1カ月時点での累計受注台数は月販目標台数6000台の約5倍となる約3万台に達したと発表されたが、その後はどうなのだろうか?
新型ムーヴのデビュー月の6月の販売台数はいきなり1万2765台で2位となった。軽販売10年連続NO.1というN-BOXの1万6158台にはおよばないものの、定位置となっている2位のスペーシアを1021台差でかわした。新型が登場する前の2025年3~5月は4位~6位だっただけに幸先のよいスタートを切ったといえる。
7月は1万4661台のスペーシアに2位を奪われたものの、3位1万1299台と好調をキープ(1位は1万6714台でN-BOX)。8月も1位1万847台のN-BOX、2位1万1478台のスペーシアに続き、ムーヴは1万847台で3位に入った。
現在、軽販売のトップ争いを繰り広げているのは、全高1700mmを超えるスーパーハイトワゴンのN-BOX(全高1790mm)、スペーシア(全高1785mm)の2台。いずれも両側スライドドアを備えている。

この2台に月平均3000台以上離されているタント(全高1755mm)が続く。今や軽自動車の上位を独占しているのは、スーパーハイトワゴンである。ちなみに今秋に発売する日産ルークス(全高1785mm)、三菱eKスペース(全高1780mm)&デリカミニ(全高1800mm)はスーパーハイトワゴンに属する。
そこへハイトワゴンのムーヴが食い込むというのはいかにチャレンジングなのか、わかってもらえただろうか。
ハイトワゴンには、ハスラーというクロスオーバーモデルが相変わらず人気継続中だが、かつては、スーパーワゴンのタントやN-BOX、パレット(スペーシアの前モデル)が登場してくるまではワゴンR対ムーヴが軽販売のトップ争いを繰り広げていた。
実は、ハイトワゴンに両側スライドドアを備えたクルマは存在した。ワゴンRスマイル(1695mm)、ムーヴキャンバス(1655mm)だ。この2台はどちらかというと、可愛らしさを追求した女性向けのモデルだから、両側スライドドアを装備しているからといってメインストリームにはならなかった。
そこで、ダイハツは、ハイトワゴン+両側スライドドアという「背はそんなに高くなくてもいいから両側スライドドアが欲しい」という点に注目し、全高が1655mmというハイトワゴンで両側スライドドアを備えた新型ムーヴを登場させたのである。
全高1655mmのムーヴに乗るとわかる”ちょうどよさ”
正直、新型ムーヴに乗る前は、10年連続NO.1のN-BOXに勝てるわけがなかろうとタカを括っていた。ところが新型ムーヴに乗って見ると、スーパーハイトワゴンに感じる、運転席に座った時の頭から上の余裕すぎる空間がなく、ちょうどいいのだ。
スーパーハイトワゴンは、停まっている時には家の天井と同じように、天井が高くて解放感があるので快適。高すぎる全高は、なんとかして自然に走るようにメーカーが頑張っている。
そうはいっても、全高1790mmのN-BOXから13.5cm低い全高1655mmのムーヴに乗り換えると、「え、こんなに違うのか?」と声を上げるほど印象は異なる。背が高いクルマに乗ると、よくカーブで上屋が後でついてくるといわれるが、さすがにそれほどじゃないが、旋回性能が高く、カーブはよく曲がり、とにかく自然に走るのだった。
ターボなしのスーパーハイトワゴンだと、CVTとエンジンの非力さがかみ合わないのか、なかなか思うように加速してくれないが、ムーヴだとNAでも問題なく走る。もちろん、ターボのほうが加速は刺激的で足も固めなので、若い人はこちらのほうがいいかもしれない。
ムーヴの両側スライドドアを使った感想だが、やはりヒンジドアよりは便利だった。特に小さいお子さんがいてチャイルドシートを装着した場合や足の悪い高齢者を乗せる場合は、圧倒的に両側スライドドアがいいと思う。
例えば、雨が降っている際に子供をチャイルドシートに乗せようとすると、スライドドアであれば子供と一緒に車内に乗り込むことができるし、濡れる心配もない。子供を抱えながらでも簡単に開閉ができる。そして少し子供が大きくなると、ヒンジドアでは隣のクルマにドアをぶつける心配はあるが、スライドドアはそうした心配もない。改めてスライドドアの利便性に関心した。








コメント
コメントの使い方まず完成度が非常に高く、便利・快適装備も抜け目なく、しかもホンダみたいにやたら高額ではなくむしろ割安さすら感じる価格設定。
市場の目が一番厳しい訳ですが、その目にもかなう内容だと思います。それが悦ばしい事なのは、
他社もこういった好例があると好敵手として、装備や価格競争をしてくれて、消費者にとって得な状況になるからです。