国内自動車メーカー各社で競い合うように、クルマの高性能化を突き詰めてきた1960年代から1970年代。1980年代はいよいよ技術革新の時代を迎える。ここでは、日本の自動車の1980年代の、新技術による高性能化の歴史を振り返る。
※本稿は2025年8月のものです
文:片岡英明/写真:ホンダ、ダイハツ、スズキ、ホンダ、日産、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年9月26日号
ターボパワー炸裂の1980年代
昭和の爛熟期である1980年代は技術革新の時代だ。ターボやスーパーチャージャーといった過給器も珍しいものではなくなった。デザイン的にはリトラクタブルヘッドライトが持てはやされ、高性能クーペはデートカーとしての側面も重視されるようになっている。
高性能FFターボが台頭してくるのも1980年代だ。コンパクトカーではシティがターボとターボIIで強烈な印象を残し、ダイハツもシャレードターボを投入。ラリーでも大暴れした。
550ccエンジンになった軽自動車も刺激的なターボが主役の座に就いた。ミラTR-XXやアルトワークス、ミニカダンガンZZなどが強い印象を残している。
日本車はハイテクとパワフルなエンジンを引っさげて世界をリードするようになり、RX-7もターボで武装して高性能化を図った。
また、ジャパンオリジナルの個性派が直列6気筒DOHCツインターボだ。トヨタはソアラとスープラに加え、マークII3兄弟にもツインターボを採用し、4速ATでも速いクルマに仕立てて新しい価値観を築いた。
ソアラを筆頭にスペシャルティカーも高性能を競っている。4気筒エンジンにFF方式のデートカーとして旋風を巻き起こしたのが2代目プレリュードだ。3代目では4輪操舵の4WSを採用して乗り味の革命を行った。セリカも右へならえでFFスポーツクーペに生まれ変わっている。
シルビアはFRにこだわったが、操る楽しさを前面に押し出した5代目S13はデートカーとしても持てはやされた。このあたりからサスペンションにも強いこだわりを持つ高性能車が次々に登場してくる。

















コメント
コメントの使い方二代目プレリュードは、駆動軸とばねなどとの関係から困難といわれた、前輪駆動車の前輪サスペンションにダブルウィッシュボーン式を採用した車として、自動車技術史において重要な意味を持つ車である。
そして、二代目プレリュードのダブルウィッシュボーン式サスペンションがきっかけになって、前輪駆動車や4輪駆動車のサスペンションの高級化が進んだ。