見にくさは改善されつつある
液晶メーターの表示の見やすさで気になるのは、着座時の角度への配慮が必要に思えることだ。たとえば、座高が低すぎたり高すぎる場合には、いくらステアリングコラムにチルト機構などがあり、シート座面を調整してもしっくりこないことがある。
他にも、日中に室内に入ってくる日光や夜間だと街路灯の光が反射して見にくい場合があることだ。
最近では巧く遮光されている例が多く、照り返しが気になるようなケースは少なくなってきている。
自発光式メーターと同じく、周囲の光をなるべく入らないように仕立て、パネル表面の反射を抑えるなど、視認性を高める工夫が施されているからだ。
メーターそのもののデザインではないが、液晶パネルの使用を意識した工夫も見られる。
ダッシュパネルのメーター上部に位置するひさし(バイザーと呼ぶこともある)のデザインは、日光や照明の反射を防ぐ機能をもち、スピードメーターを含む液晶モニター(メーター)の見やすさを確保するうえで重要。
メーター周りのデザインをすっきりと仕上げるには、ひさしがあることを感じさせないことが肝となる。
最近の例としてトヨタヤリスでは、上面への張り出しがごく小さなメーターナセルのなかに、TFT液晶の二眼メーターと中央にインフォメーションディスプレイを設置している。電化製品だけにやはり最新こそ最良のものということになる。
一方、ホンダフィットは視界のよさを重要視し、メーター上部にあったひさしを取り払い、7インチのTFT液晶メーターも必要最小限の情報を最大限に表示するというコンセプトのもと、見やすいメーター表示となっている。実際、運転してみても反射が少なくTFTモニターの優秀さが伺えた。
デジタル表示の指針式メーターの意味
液晶パネルによるデジタル表示では一見して数値を把握することが簡単なのは当然だが、速度を大まかなに把握するだけなら、指針の位置と周囲の目盛りで充分にも思える。
タコメーターでは定常走行時のおよその回転数やギアチェンジ時の変化を把握することが主な使用目的になるから、デジタル表示よりもアナログ表示が適していて、実際にも回転数が数値でデジタル表示されることはほとんどないように思える。
表示の細かい点では、液晶表示の針の動きについては改善が進んでいるとはいえ、もう少し立体感があったほうがよく、実物のレベルでわかりやすいといえるほどの到達している例はまだ少ない。
これを補うために、ほとんどメーター内が液晶化されているにもかかわらず、円形のベゼルで分けて2眼式として表示することで、慣れとともに見やすい印象を与えるようにデザインされているように思える。
トヨタクラウンでは円形のメーター周囲の数値表示を別パネルとして見やすさを向上させているように、改良の余地はまだあるとしておきたい。
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