輸入車や高級車から進む「全面液晶化」
最近では、輸入車については、ドイツの高級ブランド“御三家”を筆頭に、メルセデスベンツがトップモデルのSクラスのディスプレイを手始めに、ドライバー正面にタブレット端末のようなディスプレイを配したAクラスを発表。
BMW3シリーズや1シリーズもメーター部の全面液晶化を進め、アウディが先んじて採用したメーター全面の液晶ディスプレイを採用するなど、VWグループは積極的に装備しているようだ。
アウディはTTから採用が始まった「バーチャルコクピット」は、メーターナセル全体を液晶パネル化。
メーター表示やナビ画面などに表示を切り替え可能として多機能化を進めたことで話題になった。メルセデスは液晶パネルをダッシュパネルの横方向に拡大して大型画面を形成するなどの変更を施している。
ただし、これらが見やすいかと言われれば、見た目の新しさはいうまでもないが、慣れの要素を除いても、見た目のうえで平面的な印象は拭えず、視線の移動量が減少したとも思えないから、視認性の確保やスイッチ操作など扱いやすさの面では、もうひと工夫が必要だろう。
特にメーター内にナビのマップを表示するのは視線移動という観点からはいいかもしれないが、画面が小さいので逆に覗き込んでしまうということもあった。
2020年末に日本導入予定のVWゴルフ8もメーターとセンターをセットにしたデジタルコクピットを採用する。
こうした輸入車の活発な動きに対して、日本車のデジタルコクピットの動きはなかなか装着されない音声認識システムを含め、遅れているといわざるを得ない。
しかし、ようやく日本車メーカーの大画面液晶メーター化が始まろうとしている。2020年10月に発売予定のホンダeを筆頭に、2021年以降に発売予定の日産アリアなど、今後、新型EVには大型マルチディスプレイが採用される見込みだ。
ただ、このままでいいのかは、甚だ疑問だ。バックカメラやアラウンドビューモニター、ヘッドアップディスプレイの普及が進み、バックミラー、さらにはサイドミラーも映像としてとらえる時代になってきた。
運転に支障のないように視線移動が少なく、見やすいメーターになるのはいいが、3つ、4つとマルチインフォメーションディスプレイが並ぶ必要はないのではないか。
ホンダeのコクピットはまるで走る”映像鑑賞ルーム”だ。運転して移動するというより、自動運転車に近いイメージである。
いずれにしてもTFTモニターなどのディスプレイの進化により、解像度が高く、視認性のよい液晶メーターが今後は主流になっていくだろう。
さすがにホンダeのようにここまでディスプレイは増えないにしても、1つのメーターとディスプレイが横に並んだ欧州車のような形が一般的になっていくだろう。
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