西日の照り付ける時間帯、直射日光による眩惑をやわらげてくれるのが「サンバイザー」の役割だ。セダンやコンパクトカーでは短め、SUVやミニバンだと長めのサンバイザーが装着されているが、ちょっと短いと思っている人も多いのではないだろうか。今回は、サンバイザーについての保安基準や法令を知りながら、サンバイザーや日よけについての知識を深めていきたい。
文:佐々木 亘/画像:Adobe Stock(メイン画像=BUDDHA)
【画像ギャラリー】小さすぎサンバイザーを見て!! 内装が最先端すぎる「テスラ モデルX」をギャラリーでチェック(15枚)画像ギャラリー保安基準上のサンバイザーの規定
道路運送車両の保安基準で、サンバイザーという言葉が出てくるのは第二十条の6である。
・道路運送車両の保安基準 第二十条6
自動車(中略)のサンバイザ(車室内に備える太陽光線の直射による乗車人員のげん惑を防止するための装置をいう。)は、当該自動車が衝突等による衝撃を受けた場合において、乗車人員の頭部等に傷害を与えるおそれの少ないものとして、乗車人員の保護に係る性能等に関し告示で定める基準に適合するものでなければならない。
事故などで衝撃が加わった時に、サンバイザーが凶器になっては危ないから、安全なモノを取り付けなければならないという法規になっている。
どれほど衝撃を吸収しなければならないのかということは、保安基準の細目を定める告示(2003.09.26)別添87に規定されているので確認していこう。
試験方法は3つある。1つ目はサンバイザー本体に、手のひらで力を加えて接触感の程度を調べるというもの。サンバイザー本体が衝撃を吸収する材料でつくられているか、または覆われていて、内部の硬い構造物に局部的な接触感が無いものであればOK。ここは、自動車検査官の感覚的な判断に委ねられる。
2つ目は実車取付状態のサンバイザーに対して、直径165mmの球状剛体頭部模型が、あらゆる方向により静的に接触する部分を測定するというもの。3つ目はこの方法で静的に接触するサンバイザー構成材料のうち、硬いモノの角の半径を測定する。この時測定値は3.2mm以上とし、取り付けのための基礎部分の角の半径は板厚の15%であればよいものとされているのだ。
つまり、サンバイザーに関して、硬さや構造に関する規定はあるものの、長さに関する規制は法規上見当たらない。後付けのサンバイザーを使う場合には、素材剥き出しのものだと、保安基準に抵触する可能性があるので注意しよう。
また、サンバイザーの長さについては明確な規定はないため、運転時の視界を妨げないものであれば、長さに関する規制は基本的にはないと考えていい。しかし、サンバイザーが日よけにならないと思ったときには、アレを見直さなければならないだろう。
サンバイザーの効果が無いのはシーポジが悪いから?
サンバイザーの長さは、車種によって様々に設定されている。この長さは、「正しいシートポジション」を取った時に、眩しい光を遮ってくれるように設定されているのだ。つまり、サンバイザーが太陽光を遮らないくらい低い位置に座っている場合は、シートポジションが悪い可能性があるというわけ。
不適切なシートポジションで多いのは、シートの高さが低く、前後位置がハンドルから遠い場合。このポジションのままだと、前は見えにくくなり適切にハンドル操作が出来なくなってしまう。シート前後位置を前に出し、シートリフターで座面を高くしてほしい。
適切なシートポジションを取れると視線が上がり、サンバイザーがしっかりと太陽光を遮ってくれるはずだ。西日のきつくなるこれからの時期、夕方にサンバイザーが効かない状態になる人は、サンバイザーの長さを疑う前に、自身のシートポジションを疑ってみた方が良いだろう。
ちなみにサンバイザーが光を遮るのは正面ガラスだけと思っている人もいると思うが、サンバイザーのルームミラー側の可動部分は取り外しができるようになっており、ここを外すと90度回ってサイドガラスから注ぐ光も遮ることができるのだ。
何気なく使っているが知らないことも多いサンバイザー。上手に使って、安全運転を心掛けたい。

















コメント
コメントの使い方シートと同様に、メーカーはありとあらゆる身長・体格・性別の人々を対象に、最大多数が利益を得られるように設計「するしかない」
そこから外れる場面は誰にでも起こる。自分にとって最適なシート&ポジションで座った時、それが最大多数の標準から外れることも起こります。
幸運にもサンバイザーは、後付け品が数多く出ています。だから安全性を上げるためにいろいろ試して、自分&その愛車にベストな環境を作るのは、良策