幻に終わった「究極」の名を冠する「アルティメットセリカ」の面影と次期型への期待

幻に終わった「究極」の名を冠する「アルティメットセリカ」の面影と次期型への期待

 トヨタのスポーツクーペ「セリカ」。その36年に及ぶ歴史の中で、2000年に北米で公開された「アルティメットセリカ(Ultimate Celica)」は異彩を放つ存在でした。その名の通り「究極」を目指し、7代目セリカを大幅に改造して誕生した、500馬力級のモンスターマシンです。

文:吉川賢一/写真:TOYOTA、ベストカー編集部

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7代目セリカの「物足りない」というファンの声を受けて誕生

 トヨタの伝説的スポーツモデル「セリカ」。トヨタの中嶋裕樹副社長による「セリカ、やります!」との発言により、昨今復活への期待が高まっているモデルでもあります。

 ST165、ST185 、ST205と、ハイパワーなスポーツ4WDモデル「GT-FOUR」が投入され、WRCをはじめとする国内外のラリーシーンで活躍してきたセリカですが、最終型となった7代目(T230型、1999年~2006年)ではコンセプトを大きく変更し、FF専用車へと転換したほか、エンジン排気量も2.0Lから1.8Lへとダウンサイジング。連続可変バルブタイミングリフト機構(VVTL-i)のお陰で、最高出力は190psを維持したものの、過去の200psオーバーのターボエンジン搭載車GT-FOURのイメージとはかけ離れ、ファンからは物足りなさを指摘する声も少なくありませんでした。

 この状況を受け、トヨタUSAは「500馬力を目標とする4WDセリカ」の開発に着手。こうして誕生したのが「アルティメットセリカ」です。

イエローのボディに包まれたアルティメイトセリカ。F1のようなフロントノーズやフロントバンパーは、エアロダイナミクスを最大限に磨いた結果だ
イエローのボディに包まれたアルティメイトセリカ。F1のようなフロントノーズやフロントバンパーは、エアロダイナミクスを最大限に磨いた結果だ

500馬力を叩き出した2.0Lターボ

 開発を手掛けたのは、ロッド・ミレン・モータースポーツ(RMM)とTRD(トヨタ・レーシング・デベロップメント)。RMMとTRDは、量産型の2.0L直列4気筒エンジンをベースに、ボア&ストローク拡大による排気量アップや大型ターボチャージャーの追加をはじめ、インコネル製の特注エキゾーストマニホールドや、ステンレス製専用排気システムを採用するなど、徹底的に改造。これによって、最高出力は500ps/8,000rpm、最大トルクは460Nm/5,500rpmに到達し、かつてのGT-FOURを遥かに凌ぎ、量産型の約2.5倍という圧倒的なパワーに到達しました。

 この強大なトルクを確実に路面へ伝えるために採用されたAWDシステムには、トヨタがWRCで培った四輪駆動技術を投入。組み合わせられたのは5速マニュアルミッションで、シンプルながらダイレクトな変速フィールを実現しました。

 シャシーも大幅に強化。ビルシュタイン製ストラット&スプリングを専用チューニングで組み合わせ、大径ディスクを備えた大容量ブレーキシステムを採用。キャビンにも一体型ロールケージを溶接で組み込み、レカロ製シートと4点式ハーネスを装備し、足元も245/35R19サイズのミシュラン・パイロットスポーツタイヤとBBS製19インチマグネシウムホイールを装着するなど、軽量かつ高剛性の足回りを実現。

 この結果、最高速度は時速249kmに達するなど、まさに「究極」の名にふさわしい性能を実現することに成功したのです。

ハイマウントされたリアウイングは強力なダウンフォースが得らえる見込み。リアバンパーも空気抜き用のホールが空いた空力デザインであった
ハイマウントされたリアウイングは強力なダウンフォースが得らえる見込み。リアバンパーも空気抜き用のホールが空いた空力デザインであった

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