初代ストリーム VS 初代ウィッシュ
ストリームの初代モデルは、2000年に5ナンバーサイズのワゴン風ミニバンとして発売。3列目は窮屈だが、短距離なら7名で乗車できる。4名乗車は快適で運転感覚も軽快だ。2001年には月平均で約1万台を登録し、約1万2000台のヴィッツに迫る売れ行きとなった。
そこでトヨタは、ストリームに向けた刺客としてウィッシュを大急ぎで開発し、2003年に発売。全長/全幅/全高はストリームと同じ数値だから、必然的に外観は似る。そのうえでウィッシュは、インパネと1/2列目シートの座り心地などを上質に仕上げた。
価格はストリームに1.7Lエンジンを積んだLが169万8000円、ウィッシュは1.8LのXが168万8000円だ。ウィッシュはストリームを完璧にマークして、発売された2003年に月平均で1万3000台を登録。
ストリームは2001年登場のフィットに自社内の販売力を奪われたこともあり、月平均で3000台に下がり、ウィッシュは登録台数でストリームを追撃できた。
【勝者:初代ウィッシュ】
2代目オデッセイ VS 2代目イプサム
好調に売れるホンダ車に向けて、トヨタが対抗車種を開発すると、ほとんどの場合は成功する。
ところが2代目オデッセイを意識して、2001年に行われた2代目イプサムのフルモデルチェンジは失敗した。
初代イプサムは1996年に5ナンバーサイズのミニバンとして発売され、柔和な外観と相まって、ファミリーユーザーに高い人気を得た。これを2代目では、オデッセイに似たスポーティで上質な3ナンバー車に発展させたから、ユーザーの支持を下げている。
初代イプサムのユーザーは、サイズアップを敬遠して乗り替えない。3ナンバーサイズの立派なミニバンが欲しいユーザーにしてみれば、イプサムは柔和なファミリーカーのイメージだ。そのためにオデッセイを選ぶ。
初代イプサムは、発売1年後の1997年に月平均で8000台を登録したが、2代目イプサムは発売翌年の2002年で4000台であった。
この時点で2代目オデッセイは発売から2年以上を経過していたが、登録台数は2代目イプサムよりも少し多い。2代目イプサムは、オデッセイを意識したために失敗して、これをベースにした2代目ガイアの開発も凍結された。
【勝者:2代目オデッセイ】
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当時はトヨタのホンダに対する激しいライバル意識が醜悪に思えたが、今になって振り返ると貴重な競争だった。
日本メーカーの商品開発に刺激を与え、特にホンダの低床プラットフォームは、トヨタの激しい追い上げの中で生み出された。
ところが2008年のリーマンショック以降、トヨタはクルマ作りが大幅に変わった。質感がフィットを大幅に下まわる先代ヴィッツなど、平気で開発するようになった。
競争関係の下火に伴って他メーカーも緊張が緩み、海外中心になり、国内で売られる車種の数が減って商品力も下がった。
今後は新型ヤリスの販売と成長の中で、再びあの時代のトヨタの凄さ、怖さを見せつけて欲しい!
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